トラックでは荷物の積み降ろしなどで荷台へ上る機会が多いが、昇降時の転落事故も少なくない。そのため2023年には昇降設備が必要となる車両の範囲が拡大された。

トラックの荷台への昇り降りで転落事故が起きている
トラックにはさまざまな場所にステップやハシゴのような設備が付いている。
なかでも重要なのが、荷物の積み降ろしなどで荷台へ上り下りするための昇降設備だ。
トラックの荷台は乗用車の床よりはるかに高い。何もない状態で飛び降りたり、タイヤや車体の部品を足場代わりにしたりすれば、足を滑らせる危険もある。
実際、厚生労働省によると、陸上貨物運送事業の荷役作業中などに発生する労働災害では「墜落・転落」が最も多い。さらに厚生労働省が2020年に公表した資料では、荷役作業時の労働災害の中でも荷台からの転落が多く、そのうち荷台などへの昇降時に発生したものが約4割を占めるとしている。
わずかな高さに見えても、トラックの昇り降りは注意が必要というわけだ。

2023年から2トン以上のトラックにも対象が拡大
こうした事故を減らすため、2023年10月1日から労働安全衛生規則が改正された。
それまで荷物の積み降ろしを行う際に昇降設備が必要だったのは、最大積載量5トン以上の貨物自動車だった。
改正後はその対象が拡大され、最大積載量2トン以上5トン未満のトラックにも昇降設備の設置が必要になった。
大型トラックだけではなく、街中でよく使われる比較的小型のトラックまで対象になったことになる。
背景にあるのは、荷役作業中に発生する墜落・転落事故だ。車両の大きさにかかわらず、荷台への昇降そのものに危険があることから、安全対策が強化されたのである。

昇降設備は「ハシゴ」だけとは限らない
では、トラックには必ず大きなハシゴを取り付けなければならないのだろうか。
実はそうではない。
厚生労働省によれば、昇降設備には持ち運びできる踏み台のほか、車両に装備された昇降用ステップなども含まれる。さらに、乗降グリップなどを利用して三点支持ができる構造が望ましいとされている。
つまり重要なのは「ハシゴが付いているか」ではなく、作業者が安全に荷台へ上り下りできる設備が用意されているかということだ。
一見すると何気ないステップやグリップにも、きちんとした意味がある。
トラックの荷役作業では効率だけでなく、安全に上り、安全に降りられることも重要になる。昇降設備の対象範囲が広げられたのも、日常的な作業に潜む転落事故を減らすためなのである。

