トラック側面のサイドバンパーと、左折時に自転車などを検知する側方衝突警報装置は別の安全装置だ。大型車の巻き込み事故を防ぐ仕組みは、物理的な装置と電子技術の両面で進化している。

トラック側面の板状パーツは「巻込防止装置」
トラックの側面に板状のパーツが取り付けられているのを見たことがある人は多いだろう。
サイズや形状はトラックの大きさや種類によってさまざまだが、これは「巻込防止装置」や「サイドバンパー」と呼ばれる安全対策上、重要なパーツだ。
巻込防止装置は、歩行者や自転車などが車体側面から後輪付近へ入り込み、巻き込まれることを防ぐためのもの。
道路運送車両の保安基準では、対象となる貨物自動車などの両側面に、一定の基準を満たした巻込防止装置を備えることが定められている。
大型トラックは乗用車に比べて運転席の位置が高く、車両の直前や左側方などに死角が生じやすい。
さらに車体が長いため内輪差も大きく、左折時には歩行者や自転車などを巻き込む危険がある。

ミラーや安全窓も死角を減らすための装備
大型トラックでは、周囲の安全を確認するためにさまざまな装備が使われている。
一般的なサイドミラーに加え、アンダーミラーやサイドアンダーミラーなどが取り付けられ、車種によっては助手席側ドア下部に安全窓が設けられているものもある。
道路運送車両の保安基準でも、運転席から車両周辺の所定の範囲を確認できる鏡などの装置について基準が定められている。
しかし、こうした装備を使用しても大型車の死角を完全になくすことは難しい。
そこで登場したのが、センサーなどを使って左側方の危険を検知する「側方衝突警報装置」だ。
「側方衝突警報装置」はサイドバンパーとは別物
サイドバンパーなどの巻込防止装置と、側方衝突警報装置は同じものではない。
サイドバンパーが歩行者や自転車などの後輪への巻き込みを物理的に防ぐ装置なのに対し、側方衝突警報装置はレーダーなどを使って自転車を検知し、衝突のおそれがある場合にドライバーへ警報を出す電子式の安全装置だ。
車両総重量8トンを超える貨物自動車などでは、新型車は2022年5月から、継続生産車は2024年5月から側方衝突警報装置の基準が適用されている。
つまり現在の大型トラックでは、物理的に巻き込みを防ぐ装置に加え、電子技術によって事故を未然に防ぐ仕組みも取り入れられているというわけだ。
側方衝突警報装置は自転車をどう検知する?
側方衝突警報装置には、左折時の巻き込み事故を防ぐための細かな基準が設けられている。
主な要件は次のようなものだ。
・時速30km以下で走行している際、左側方を走行する自転車を検知できること。
・自動車の左側面から0.9~4.25mの範囲にいる自転車を検知できること。
・運転者が左折しようとした際、自転車と衝突する可能性がある場合に警報すること。
・警報は視覚と音の両方によって行うこと。
車体左側に設置されたレーダーなどで自転車を検知し、左折時に衝突の危険が高まるとドライバーに知らせる仕組みだ。
ミラーを見るだけでは気付きにくい左側方の危険を、電子装置が補助してくれる。

AIカメラなど巻き込み防止技術はさらに進化
さらに最近では、AIカメラや複数のセンサーを利用し、車両周辺の歩行者や自転車などを検知する安全装置も登場している。
車両の周囲を監視し、危険を検知するとインジケーターや警告音などでドライバーへ知らせるものや、モニターによってミラーでは確認しづらい部分を映し出すものなど、その仕組みはさまざまだ。
トレーラーなど車体の長い車両では、車両の動きに応じて周辺を監視するシステムも使われている。
また、左折時に外部スピーカーから音声を流し、歩行者や自転車に車両の接近を知らせる装置などもある。
かつてはサイドバンパーやミラーなどが中心だった巻き込み事故対策だが、現在ではレーダーやカメラ、AIなども加わり、事故を未然に防ぐための安全技術は着実に進化している。

