冷凍車の床に設けられた溝やT型レールは、荷物を床から浮かせ、冷気を下まで循環させるための構造だ。水分を荷物から遠ざけ、洗浄水を排水口へ導く役割もあり、庫内の温度と衛生を足元から支えている。
荷物の下にも冷気を通すため

冷凍車の庫内をのぞくと、床に細長い溝が並んでいたり、アルミ製のT型レールが取り付けられていたりする。滑り止めの模様に見えるが、重要な目的は荷物と床の間に冷気の通り道をつくることにある。
冷凍機から吹き出した冷気は、天井付近を通って後方へ進み、荷物の周囲や下側を通りながら冷凍機へ戻る。この循環が成立してこそ、庫内全体の温度が安定する。荷物を平らな床へ隙間なく直置きすると、底面には空気が入りにくい。上側は冷えていても、床に近い部分へ熱が残り、温度むらが生じる可能性がある。
T型レールや溝付き床、取り外し式のスノコは、荷物をわずかに持ち上げて床下の空間を確保する。冷凍車メーカーも、スノコには冷気の循環を良くする効果があると説明している。冷凍車の床は、単に荷物の重さを受け止める台ではなく、庫内の空気を動かす設備の一部なのだ。
冷気の通り道が温度むらを防ぐ

冷凍輸送は、冷凍機を強く動かせば荷物全体が均一に冷えるというものではない。大切なのは、冷たい空気を庫内の奥まで送り、温まった空気を冷凍機へ確実に戻すことだ。
荷物を隙間なく積んだり、冷気の吹出口や吸入口を段ボール箱でふさいだりすると、空気が途中で止まってしまう。すると、一部だけが冷えすぎる一方、冷気が届かない場所には温かい空気が残る。食品の品質低下や結露、青果物の傷みを招く原因にもなりかねない。
床の溝にごみ、梱包材、氷などが詰まった場合も同様だ。キャリーの取扱資料では、適切な空気循環を保つため、T型床の溝に異物がないか確認するよう求めている。積み方だけでなく、床の清掃状態まで温度管理に直結するというわけだ。
水分を荷物から離し、清掃しやすくする

冷凍車の床では、冷気だけでなく水分の処理も欠かせない。扉を開けた際に入り込んだ湿気、解凍による水、魚介類や青果物から出た液体、庫内洗浄後の水などが床面に残ることがある。
スノコやT型レールによって荷物が床から浮いていれば、段ボール箱や食品容器が水分へ直接触れにくい。床の溝は水を流れやすくする補助にもなるが、溝だけで排水を完結させるわけではない。実際には、床面の傾斜や水抜き穴、ドレンホースなどを組み合わせ、庫外へ排出する構造が一般的だ。メーカーによっては、車両が少し傾いていても水を抜けるよう、複数の排水口を設けている。
ただし、排水口が食品片や泥で詰まれば、汚水が庫内に残り、においや衛生状態の悪化につながる。日本フルハーフの取扱説明書でも、床面の清掃と排水口の詰まり除去を丁寧に行うよう注意している。
冷凍車の床にある溝は、単なる滑り止めではない。冷気を荷物の下へ送り、水分から積荷を遠ざけ、洗浄しやすい庫内をつくるための工夫だ。食品の温度と清潔さは、目立たない床の構造によっても守られている。
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