トラック牽引でシャフトを抜く理由 抜かないとどうなる?

トラックをレッカー牽引する際、車種によってはプロペラシャフトを外す「シャフト抜き」が必要になる。そのまま牽引すると駆動系やトランスミッションを傷める恐れがあり、必要性は駆動方式や牽引方法によって異なる。

なぜトラックの牽引で「シャフト抜き」をするのか

トラックをレッカー車で牽引する場面は、一般のドライバーにとってそれほど身近なものではない。しかし、故障や事故などで自走できなくなれば、ロードサービスやレッカー業者に搬送を依頼することになる。

そんなとき、トラックでは「シャフト抜き」と呼ばれる作業が行われることがある。

ここでいうシャフトとは、主にトランスミッションからデファレンシャルへ動力を伝えるプロペラシャフトのこと。大型トラックではFR(フロントエンジン・リアドライブ)が多く、エンジンの力をプロペラシャフトを介して後輪へ伝えている。

ところが、エンジンを停止した状態で駆動輪を接地させたまま牽引すると、今度はタイヤ側から駆動系が回されることになる。

そのため、車種や牽引方法によってはプロペラシャフトを切り離し、タイヤの回転がトランスミッション側へ伝わらないようにする。これが一般に「シャフト抜き」と呼ばれる作業だ。

そのまま牽引するとトランスミッションを傷めることも

シャフト抜きを行う大きな理由のひとつが、トランスミッションなどの駆動系を保護するためだ。

エンジンが停止していても、駆動輪が地面に接した状態で車両が移動すればタイヤは回転する。その回転がデファレンシャルやプロペラシャフトを介してトランスミッションへ伝わる場合がある。

問題になるのが潤滑だ。

多くのオートマチックトランスミッションでは、エンジン停止中は通常走行時と同じようにオイルを循環させられない場合がある。その状態で内部部品が回転し続ければ、潤滑不足によってベアリングやギアなどが過熱・摩耗する恐れがある。

最悪の場合、焼き付きやトランスミッションの故障につながる可能性もある。

駆動系やトランスミッションの修理は高額になるケースが少なくない。牽引そのものによって別の故障を発生させないためにも、車両の構造に応じた方法で牽引することが重要になる。

シャフト抜きが不要なケースもある

ただし、トラックを牽引するからといって、必ずシャフトを抜くわけではない。

ポイントになるのは、駆動輪が地面の上で回転するかどうかだ。

FR車なら後輪が駆動輪なので、後輪を地面から浮かせて牽引できれば、駆動輪からトランスミッションへ回転が伝わりにくくなる。FF車なら前輪が駆動輪になるため、前輪を持ち上げて牽引する方法が基本となる。

また、車両全体を積載車に載せて搬送すれば、タイヤ自体が地面を転がらないため、こうした問題を避けやすい。

一方、4WD車や特殊なトランスミッションを採用する車両では構造が異なる。駆動モードを切り替えれば牽引できる車種もあれば、前後輪を接地させた牽引そのものが適さない車種もある。

つまり、「FRなら必ずシャフトを抜く」「駆動輪を浮かせればすべて問題ない」と単純には決められない。実際の牽引ではメーカーが指定する方法を確認し、車両の駆動方式やトランスミッションに合った方法を選ぶ必要がある。

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