
トラックのメーターには、乗用車ではあまり見かけない警告灯や表示灯、スイッチマークが数多くある。赤や黄色、オレンジ色の警告灯が点灯したとき、「このまま走って大丈夫なのか」と迷うこともあるだろう。この記事では、トラックで見かける代表的な警告灯・表示灯・スイッチマークについて、色による緊急度の目安や意味、点灯したときの基本的な対処方法を紹介する。表示や名称、対処方法はメーカー・車種・年式によって異なるため、実際に警告灯が点灯した場合は、車両の取扱説明書もあわせて確認する必要がある。
トラックの警告灯・表示灯はまず『色』を確認



警告灯を見るときは、まず色を確認する。赤は危険、黄色やオレンジは注意、緑や青は作動状態の表示と考えるとわかりやすい。
赤い警告灯は、走行を続けると危険につながる可能性がある。ブレーキ、油圧、冷却水温などに関係する表示なら、安全な場所に停車して確認するのが基本だ。
黄色やオレンジは、ただちに停止が必要とは限らないが、早めの点検が必要な状態を示すことが多い。エンジン、ABS、DPF、安全支援装置などに関係する表示がこれにあたる。
緑や青は、ライトや補助装置が作動していることを知らせる表示が中心である。ただし、見慣れない表示が出た場合は、取扱説明書で意味を確認しておきたい。
トラック特有の警告灯・スイッチマーク
キャブチルト警告灯

チルト機構とは、キャビンなどを傾けるための仕組みを指す。トラックのキャビンは、チルト機構によって前方へ傾けられる構造になっている。キャブチルト警告灯は、キャビンを元の位置へ戻したあと、キャビンが確実にロックされていない場合に点灯する。
燃料フィルター水抜き警告灯

フューエル(燃料)フィルター内に水分が混入すると、燃料フィルター水抜き警告灯が点灯する。水分を放置すると、燃料噴射装置や燃料系統に不具合を生じるおそれがある。この警告灯は主にディーゼル車に装備されており、ガソリン車には通常装備されていない。
ASR警告灯・作動表示灯

ASR(アンチ・スリップ・レギュレーション)は、発進時や加速時のタイヤの空転を抑え、車両の安定した走行を支援するシステムである。雪道や雨天時などの滑りやすい路面でタイヤが空転した際に、エンジン出力やブレーキを制御して駆動力を確保する。乗用車では一般にトラクションコントロールと呼ばれる機能に相当し、トラックでもメーカーや車種によって名称が異なる場合がある。
例)
日野:アンチ・スリップ・レギュレーション
いすゞ:アンチ・スリップ・レギュレーター
三菱ふそう:アンチスピンレギュレーター
DPF・DPD・DPR警告灯

DPFは「Diesel Particulate Filter」の略で、ディーゼルエンジンの排出ガスに含まれるPM(粒子状物質)を捕集する装置である。一般的には排気系統に設置され、フィルターにたまったPMを一定の条件で燃焼させて除去する。この処理をDPF再生と呼ぶ。
DPF再生には、走行中などに車両側の制御によって自動的に行われる自動再生と、PMの堆積量が多い場合などに停車した状態で行う手動再生・強制再生がある。再生方法や作動条件、操作方法はメーカーや車種によって異なるため、警告灯が点灯した場合は取扱説明書を確認する必要がある。
暖機スイッチ表示

エンジンに湯気のようなマークが描かれたスイッチは、暖機運転を行うためのスイッチである。外気温が低い冬場などに、エンジンや冷却水を早く適温まで上げたい場合に使用する。装備の有無や作動条件、操作方法はメーカーや車種によって異なるため、使用時は取扱説明書を確認する必要がある。
坂道発進補助装置

重量のあるトラックでは、坂道発進時にブレーキからアクセルへ踏み替える際、車両が後退することがある。こうした後退を抑えるのが坂道発進補助装置である。装置の作動状態を示す表示は、警告灯ではなく、坂道発進補助機能が有効になっているかどうかを確認するための表示灯である。
走行・故障に関係する主な警告灯
ABS 警告灯

ABS警告灯は、アンチロック・ブレーキ・システムに関する表示である。
ABSは、急ブレーキ時にタイヤのロックを抑え、ハンドル操作を残すための装置だ。大型車では車両重量が大きく、積み荷の状態によって制動時の挙動も変わるため、ABSの役割は大きい。
ABS警告灯が点灯した場合でも、通常のブレーキがすぐに効かなくなるとは限らない。しかし、ABSが正常に作動しない可能性があるため、急制動時の安全性は低下する。点灯したままなら早めの点検が必要である。
ブレーキ警告灯

ブレーキ警告灯は、赤色で表示されることが多い重要な警告灯である。
パーキングブレーキの解除忘れで点灯する場合もあるが、ブレーキ液量の低下、ブレーキ系統の異常、エアブレーキ車ではエア圧不足などを示す場合もある。
トラックにとってブレーキは命に直結する装置だ。警告灯が消えないまま走り出すのは危険である。パーキングブレーキの状態を確認しても消えない場合は、走行を中止して点検を受けるべき表示である。
エンジン警告灯

エンジン警告灯は、エンジン制御システムに異常があるときに点灯する。
原因はさまざまだ。センサー異常、燃料噴射系の不具合、排出ガス浄化装置の異常、吸気系や電気系のトラブルなど、ひとつの警告灯で多くの可能性を示す。
点灯していても走行できる場合はあるが、放置してよいという意味ではない。出力低下、燃費悪化、排ガス異常、さらなる故障につながる場合がある。点滅している場合や、エンジンの振動、異音、出力不足を伴う場合は、早急な確認が必要だ。
油圧警告灯

油圧警告灯は、エンジンオイルの圧力低下を知らせる警告灯である。
この警告灯は非常に重要だ。エンジン内部はオイルによって潤滑されている。油圧が不足したまま走行すると、エンジン内部の金属部品が焼き付き、大きな故障につながる。
赤いオイルランプが点灯した場合は、すぐに安全な場所へ停車する。オイル量の確認も必要だが、単なるオイル不足とは限らない。オイルポンプやセンサー、潤滑経路に問題がある場合もあるため、無理な走行は避けるべきである。
水温警告灯

水温警告灯は、エンジン冷却水の温度異常を知らせる表示である。
赤く点灯した場合は、オーバーヒートの可能性がある。冷却水不足、ラジエーターの詰まり、冷却ファンの不具合、ウォーターポンプの故障などが原因になる。
オーバーヒート状態で走り続けると、エンジン本体に深刻なダメージを与える。水温警告灯が点灯したら、安全な場所に停車し、エンジンルームを不用意に開けず、冷却を待つ必要がある。熱い状態でラジエーターキャップを開けるのは危険である。
充電警告灯

充電警告灯は、バッテリーそのものの異常だけでなく、オルタネーター(発電機)やベルト、配線など、車両の充電系統に異常がある場合に点灯する。エンジン始動前に点灯し、始動後に消灯するのは通常の状態だが、走行中に点灯した場合はバッテリーへの充電が正常に行われていない可能性がある。そのまま走行を続けると電力不足によってエンジンが停止するおそれがあるため、安全な場所に停車し、点検を受ける必要がある。
近年のトラックで増えている安全装置の表示
AEBS警告灯・作動表示

AEBSとはAdvanced Emergency Braking System(先進緊急ブレーキシステム/衝突被害軽減ブレーキ 衝突被害軽減ブレーキのこと。前方の車両や歩行者などを検知し、衝突の危険が高まった場合に警報を出し、必要に応じてブレーキ制御を行う。
近年のトラックでは、このAEBS関連の表示が重要になっている。2025年9月からは大型車などの新型車に対して、歩行者対応を含む強化された基準が適用される。継続生産車は2028年9月からの適用となる。
AEBSの警告灯が点灯した場合、システム異常、カメラやレーダーの汚れ、検知範囲の不良などが考えられる。フロントガラスやセンサー部に雪、泥、虫、雨滴などが付着しているだけでも、正しく作動しないことがある。
AEBSは事故防止を支援する装置だが、万能ではない。警告灯が点いている状態では、支援機能が制限されている可能性があるため、運転者自身の確認がより重要になる。
見慣れない警告灯が点灯したときは
見慣れない警告灯が点灯した場合は、まず警告灯の色と車両の状態を確認する。赤色の警告灯や、走行中に異音・振動・出力低下などの異常を伴う場合は、安全な場所に停車して確認する必要がある。警告灯の表示や名称、点灯条件はメーカー・車種・年式によって異なるため、判断できない場合は車両の取扱説明書やメーカーの公式情報を確認し、必要に応じて販売店や整備工場へ相談する。
まとめ|警告灯は色と車両の状態を確認する
トラックには、乗用車ではあまり見かけない警告灯や表示灯、スイッチマークが数多く装備されている。警告灯が点灯した場合は、まず色と車両の状態を確認することが重要だ。特に赤色の警告灯は重大な異常を示す場合があるため、無理に走行を続けないようにしたい。表示の意味や対処方法はメーカーや車種によって異なるため、最終的には取扱説明書で確認する必要がある。
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