トレーラーハウスはなぜ注目されるのか? キャンピングカーとは違う「動く資産」の可能性

コロナ禍以降、移動できる空間として注目されるトレーラーハウス。レジャーだけでなく、店舗、宿泊施設、災害時の臨時施設など、ビジネスの現場で活用が広がっている。

キャンピングカーとは違うトレーラーハウスの特徴

コロナ禍を契機に、人気が沸騰したキャンピングカー。多くの人が思い浮かべるのは、トラックやバスの荷台にリビングやベッドを架装したタイプや、1BOX車を改造した「自走式」の車両だろう。しかし、「牽引(けんいん)」というスタイルのものも存在する。それが、トレーラーハウスだ。自前の駆動装置を持たないシャーシに、居住・商業空間を載せてヘッド、つまり牽引車で引っ張るタイプの車両である。

もともとアメリカのような広大な国土があって長期休暇が当たり前の国では、アウトドアレジャー用としてトレーラーハウスが定着している。しかし、日本では駐車場の確保や狭い道路事情に加えて、「牽引免許」の壁もあり、一般のレジャー用として爆発的な普及には至っていない。ちなみに、総重量750kg以下のライトな規格であれば、牽引免許は不要だ。

ところが近年、このトレーラーハウスが「ビジネスの現場」で大きな注目を集めているという。その理由は、移動性にあるのだ。ちなみに、ここ数年注目を浴びているコンテナハウスとは、この点に違いがある。見た目は似ているが、コンテナハウスは地面に固定される「建築物」であり、トレーラーハウスは車輪が付いていていつでも移動できる「車両」という位置づけだ。

建物ではなく車両だからこその強み

この「移動できる」という機動性こそが、トレーラーハウスの最大の強みといってよい。一般に店舗を建てるとなれば、建築基準法に縛られるため、厳しい手続きや制限をクリアしなければならない。さらに、昨今の資材高騰や職人不足によって建築コストは跳ね上がっており、一度建ててしまえば投資回収には膨大な年月が必要となる。

一方でトレーラーハウスは、一定の基準、たとえば随時かつ任意に移動できる状態を保つことなどを満たせば、建築基準法ではなく「道路運送車両法」の適用を受ける。つまり、固定資産税がかかる建物ではなく、あくまで「車両」扱いになるのだ。

もちろん、大型の車体を維持・取得するコストは決して安くはないが、建築費用に比べれば初期投資を大幅に抑えることができる。さらに、場所を移動させることが容易なため、季節限定の営業やイベント、災害時の臨時施設としても有効性が高いのだ。

ビジネスの現場で広がる活用例

具体的な活用例としては、宿泊施設、アパレルなどの小売店舗のほか、カフェなどがある。最近では、結婚式場や葬儀場といったドラスティックな現場での導入も行われている。固定された大ホールを建てるリスクを避け、多様化するユーザーのニーズ、たとえば小規模化や式前後の宿泊対応などに合わせて、式場・控室・キッチンスペース・宿泊施設などのトレーラーハウスを、パズルのように組み合わせて提供するというビジネスモデルだ。

先行きが見通せない現代のマーケットにおいて、莫大な資金を投じて恒久的な施設を構えるリスクは高い。すべてのビジネスがこれに置き換わるわけではないが、変化に柔軟に対応できる「移動型サービス」の需要は今後さらに拡大していくだろう。

運んで設置をすれば、すぐにビジネスが始められるトレーラーハウスは、これからの物流と商業をつなぐ極めて合理的な「動く資産」と言えるのではないだろうか。

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