物流の2024年問題を経ても、長い荷待ちや過剰な付帯業務は依然として大きな負担だ。一方、行政の監視強化や人手不足を背景に、ドライバー側が改善を求め、条件の悪い荷主を避ける動きも出始めている。
若手不足が深刻化するトラック業界

大型車両であるトラックを自在に操り、夜の高速道路をひた走るトラックドライバー。クルマ好きにとって憧れの要素が多いトラック職業だが、現場の実状は決して甘いものではない。時間外労働の上限規制が導入された、いわゆる「物流の2024年問題」が叫ばれるようになってから1年余りが経過した。業界全体の最適化や持続可能性の向上が期待されたものの、現場でステアリングを握るドライバーが持つ実感としては、まだ理想とは程遠いというのが本音だろう。その一方で、現場の意識と物流関連事業者間の立場には、少しずつ変化が起き始めているようだ。
物流ソリューションを展開するHacobuが実施した、ドライバー実態調査(全国1271名対象)を見ると、現場のリアルな数字が浮き彫りになる。回答者の半数以上が50歳代以上で、40歳代も含めると実に7割近くに達する。また、ドライバー歴10年以上のベテランが多数を占める中で、1年未満の新人ドライバーはわずか2.4%。大型車やトレーラーは自在に操るプロの職人技に依存しているにもかかわらず、将来を担う若手が少ないというのは危機的状況といわざるを得ない。その最大の要因は、「労働に見合わない給料」と「運転以外の過酷な業務」にあるといわれている。
長い荷待ちと付帯作業に「NO」

とくに、ドライバーの負担として長年問題視されてきたのが「荷待ち時間」である。制度が変わって1年余りが経ち、約半数のドライバーは「短くなった」と回答したものの、残りの半数は「変わらない」と答えた。1〜2時間待たされるのは日常茶飯事で、2時間以上待機させられる人たちも2割近くに達している。
さらに深刻なのが、荷降ろし・検品・仕分けといった「付帯作業」の存在だ。本来は積み下ろし先の倉庫側が行うべき作業を、無償のサービス残業のような形で当たり前のように押し付けられ、ハンドルを握っている時間以上に倉庫内で体力を削られることも、少なくないという。
だが、もう耐え忍ぶだけの時代は終わりを迎えつつある。ドライバーが、現場改善の声を上げ始めているのだ。本調査でも、「長すぎる荷待ち(約62%)」と「過剰な付帯業務(約52%)」が、喫緊の改善課題として問題視されている。受け入れ態勢の不備や融通の利かない予約・配車スケジュールに対して、現場からは「ノー」の意を示す疑問の声が上がるようになったということだ。
「良質な荷主を選ぶ」時代へ

背景には、行政の強力な後押しもある。公正取引委員会や国土交通省の「トラックGメン」が、悪質な荷主に対する監視・指導を強めており、無理な強要や優越的地位の乱用が許されない環境が急速に整いつつある。
これまで、運送業界は「荷主の言うことが絶対」と従わざるを得なかった。しかし、これからは対等な立場で交渉するのはもちろんのこと、業務環境を改善しようとしない不誠実な荷主の仕事は受注せず、「良質な荷主を選ぶ」時代になってきているということだ。
こういった動きが加速して、ドライバーの技術と時間が正当に評価され、理不尽な付帯業務や無駄な待機時間が解消されることを願ってやまない。
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