【国際物流総合展2024】長寿命なフォークリフトの機能を高める、後付け自動運転システム

2024年問題や少子化問題は、現場仕事に深刻な影響を与え始めている。これは倉庫や工場の作業員も同様で、人員の確保が困難になっているという。なかでも、技術を要するフォークリフトオペレータの不足は、作業の効率化を図る上でも早急に対策しなければならない問題だといえよう。なぜならば、フォークリフトの運転は一朝一夕で習得できるものではないからだ。

フォークリフトを扱う上で必要となるのは、対応する技能講習や特別講習を受講・修了することである。これは、労働安全法に規定されている必須事項だ。倉庫や工場内などの私有地であればそれだけでもよいが、公道(不特定の人や車が自由に通行することができる場所を含む)を走行する場合は、運転する車輌に応じた運転免許が必要だ。

これらが揃った上で初めてフォークリフトの操縦ができるのだが、この段階のオペレータは初心者に過ぎず一人前には程遠いのだ。なぜならば、フォークリフトはほとんどが後輪操舵になっているために、車輌のコントロールが非常に難しいからである。さらに、床や荷物を傷つけずに荷物を載せたパレットやコンテナなどを、フォークにセッティングすることも簡単ではない。

そういった問題を解決するために、自動運転の可能なフォークリフトが登場するようになったわけだ。ただ、フォークリフトはきちんとメンテナンスをしていれば、けっこう長く使える機械である。自動運転が可能な最新機のコストを考えれば、導入に二の足を踏む事業者も少なくない。

そこで、既存のフォークリフトを自動化するシステムが開発された。それが、「国際物流総合展」(2024年9月、東京ビッグサイト)で注目を浴びたARAVが提供する「AIオペ」だ。このシステムは自動運転だけではなく、遠隔操作も可能。また、必要に応じて有人運転モードにすることもできる。要するに、現場の状況に応じて臨機応変に運用することが可能なのだ。

このシステムはフォークリフトのメーカーや機械の方式を問わないので、多くの機種に対応することができるのだ。また、1台ごとに装置の取り付けを行うから、導入する際には空いているフォークリフトから順次作業を進められる。そのため、物流業務を止めることなく自動化を完了することが可能になる。

2024年8月からコクヨロジテムの配送センターで、このシステムの実証実験が行われている。その概要は、ARAVのシステムをコクヨロジテムが保有するフォークリフトに搭載し、遠隔操作・自動運転技術の開発に取り組むというものだ。遠隔操作の実証実験では、同センターに設置した遠隔操作室から倉庫内のフォークリフトを稼働させ、標準動作の確認(走行やハンドル操作など)と、作業ルート上でのパレット搬送に関する試験を行う。

この実証実験では、

・遠隔操作を実施することで、オペレータが過酷な現場に出ることなく、作業を行えるようにして労働環境改善を図る。

・自動運転によりオペレータの人員を抑制し、人件費の削減・作業可能時間の拡大(深夜~早朝)などを実現。物流現場の生産性向上・業務効率化を図る。

などの効果が期待されている。自動運転技術が、熟練のオペレーターに近づく日もそう遠くないことなのかもしれない。

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