トラックのエアサスシートは、空気ばねやダンパーによって床から伝わる振動や突き上げを和らげる装備だ。大型・中型トラックで使われ、長時間運転の快適性を支える重要なシート機構となっている。

エアサスシートとはどんな装備?
トラックには、運転席そのものにサスペンション機構を備えた「エアサスシート」が採用されている車種がある。
車両のエアサスペンションが車軸と車体の間で振動や衝撃を吸収するのに対し、エアサスシートは運転席と床面の間に設けられたサスペンションによって、ドライバーに伝わる振動や突き上げを和らげる装備だ。
一般的なエアサスシートでは、空気ばねとダンパーなどを組み合わせてシートの上下動をコントロールする。日本発条では、大型・中型トラック用として、フロアからの振動を吸収する自動高さ調整機能付きのエアサスペンションシートを製造している。
つまり、荷物や車体を支えるエアサスとは別に、ドライバー自身を振動から守るためのサスペンションがシートにも備えられているのである。
なぜトラックにエアサスシートが使われる?
トラックは重量物を運ぶため、耐荷重性や耐久性を考えた車体やサスペンションが必要になる。
さらに、大型・中型トラックでは長時間運転する機会も多い。路面の段差や継ぎ目などから伝わる振動や突き上げを長時間受け続ければ、ドライバーの快適性にも大きく影響する。
そこで役立つのがエアサスシートだ。
車体からシートへ伝わる振動をシート側のサスペンションでも吸収することで、ドライバーへの衝撃を和らげることができる。
「トラックの乗り心地が悪いから付いている」というより、長時間運転するドライバーに伝わる振動を少しでも減らすための装備と考えた方が正確だ。

空気ばねとダンパーで振動を吸収する
エアサスシートでは、シート下部に設けられた空気ばねなどが上下方向の衝撃を吸収する。
さらにダンパーによってシートの揺れを抑えることで、路面から入力された振動がそのままドライバーへ伝わることを防いでいる。
車種やシートによって機能は異なるが、自動高さ調整機能を備えたものもある。
ドライバーの体格や着座位置に合わせてシート高さを調整できれば、快適性だけでなく適切な運転姿勢や視界の確保にもつながる。
現在の大型トラックでは、シートサスペンションを任意の高さで固定できる機能や、ベンチレーションなどを備えた高機能な運転席も登場している。
車両のエアサスとはまったく別の装置
「エアサス」という名前が付くため混同しやすいが、エアサスシートと車両側のエアサスペンションは別の装置だ。
車両側のエアサスは、主に車軸とフレームの間にあり、車体や積荷を支えながら路面からの衝撃を吸収する。
一方、エアサスシートは運転席そのものに設けられ、ドライバーへ伝わる振動を減らす役割を持つ。
さらに、キャブとフレームの間で振動を吸収する「キャブサス」も別の装置である。
大型トラックでは、車両のサスペンション → キャブサス → シートサスペンション
と、それぞれ異なる部分で振動や衝撃を抑える仕組みが使われている車種もある。
アサスシートは後付けできる?

エアサスシートそのものは交換用や補修用として流通しており、車両によっては別のシートへ交換することも可能だ。
ただし、どんなトラックにも簡単に取り付けられるわけではない。シートの取付位置や寸法、固定方法、エア配管、シートベルトなどの仕様は車両によって異なる。別車種のシートを流用する場合には、取付加工が必要になる可能性もある。
シートは乗員の安全に関わる重要な装備でもあるため、単純に「付けば問題ない」と考えるべきではない。後付けや別車種からの流用を考える場合は、車両との適合を確認し、トラック販売店や専門業者などへ相談した方が安全だ。
エアサスシートはドライバーを支えるサスペンション
トラックの運転席を外から見るだけでは、シートの下にサスペンションが入っていることには気付きにくい。しかし、その下では空気ばねやダンパーなどが働き、路面から伝わる振動や突き上げを和らげている。
エアサスシートは単なる豪華な快適装備ではない。長時間トラックを運転するドライバーの負担を軽減し、快適な運転環境を支えるための重要な装備なのである。
