保存版| キャブサスは、トラックのキャブとフレームの間で振動や突き上げを抑える重要な装置。普段は見えにくい取り付け位置や種類、故障時に現れる揺れ・異音・エア漏れ、荷物を支える車両側エアサスとの違いを整理。
キャブとフレームの間で運転席の振動を抑える


(画像出典:いすゞタウン https://www.isuzu.co.jp/town)
一般に自動車のサスペンションといえば、車輪や車軸とフレームの間に設けられた装置を指す。しかし、トラックにはこれとは別に「キャブサスペンション」、通称キャブサスが備わっている。
キャブサスが取り付けられているのは、ドライバーが乗るキャブと、その下にあるフレームの間だ。大型トラックなどではキャブ前方と後方の支持部分にスプリングやショックアブソーバーが配置され、キャブ全体をフレームから浮かせるように支えている。車種によって取り付け位置や構造は異なるが、キャブの下や後方をのぞくと確認できる場合がある。
トラックの車両側サスペンションは、車体だけでなく数トンもの積荷を支えなければならない。そのため、乗用車のように乗り心地だけを優先して柔らかくすることは難しい。そこでキャブを独立して支え、路面から伝わる細かな振動や段差の突き上げを軽減しているのがキャブサスである。
ただし、キャブサスが直接守っているのは、主にキャブと乗員だ。積荷に伝わる衝撃を抑える役割は、車輪とフレームの間にある車両側サスペンションが担っている。
ラバー・コイル・エアの3種類がある

キャブサスには、主にラバースプリング、コイルスプリング、エアスプリングが使われる。
ラバースプリングはゴムの弾性で振動を吸収する方式で、小型トラックを中心に採用される。内部に液体を封入し、その抵抗によって振動を抑えるタイプもあり、現在販売されているいすゞ・エルフにも液体封入式キャブサスペンションが設定されている。
コイルスプリングは金属製のばねを使う方式で、中型車から大型車まで幅広く採用される。エアスプリング式は、ゴム製のベローズに圧縮空気を入れてキャブを支える方式だ。大型トラックではエアスプリング、ショックアブソーバー、レベリングバルブなどを組み合わせ、キャブの高さと動きを安定させる構造も使われる。
ここで注意したいのが、一般に「トラックのエアサス」と呼ばれる車両側エアサスペンションとの違いだ。キャブのエアサスはキャブとフレームの間にあり、乗員に伝わる振動を抑える。一方、車両側エアサスは車軸とフレームの間にあり、車体と積荷を支え、積載量が変わっても車高や乗り心地を保つ役割を持つ。さらに、運転席だけが上下するエアサスシートも別の装置である。
揺れや異音、エア漏れは故障のサイン

キャブサスが劣化すると、以前より段差の突き上げが強くなったり、細かな振動がキャブに伝わったりする。段差を越えた後もキャブの揺れが収まりにくい、発進や停止時にキャブが大きく前後する、キャブ下から「コトコト」「ゴトゴト」という音が出る場合も、ダンパーやゴムブッシュ、リンク部分の摩耗が疑われる。
エア式では、キャブが左右どちらかに傾く、正常な高さまで上がらない、停車後にキャブが下がる、周辺から空気の漏れる音が続くといった症状にも注意が必要だ。ベローズ、ホース、接続部、レベリングバルブなどからのエア漏れが考えられる。
ショックアブソーバーの油漏れも代表的な点検項目だ。ただし、外筒に薄く油が付着しているだけなら、ピストンロッドを潤滑するための正常な油膜である場合がある。拭き取った指がオイルまみれになる、拭いた部分から再びオイルがにじむ状態は異常とされ、交換が必要となる。
キャブサスは外から目立ちにくいが、長時間トラックを運転するドライバーの乗り心地を支える重要部品だ。異音や揺れを「古いトラックだから」と放置せず、症状が変化した場合は整備工場で点検することが重要である。
