
高速道路はたいへん便利。きれいに整備されて走りやすい構造になっているだけではなく、信号(トンネルや一部のジャンクションを除く)や横断歩道なども存在しない。快適すぎて、漫然運転に注意を払わなければならないぐらいだ。とはいえ、交通集中・工事・事故などといったトラブルにより、しばしば渋滞が発生する。これに気づくのが遅れて、新たに事故が起きてしまうなどといったことも少なくないようだ。
「高速道路」とは一般用語で、「高速自動車国道」と「自動車専用道路」を併せてそう呼んでいる。定義づける法律は「高速自動車国道法」と「道路法」で、「高速道路株式会社法」でも同様の規定がある。これらを基にして、免許取得の際に教則本では「高速道路とは、高速自動車国道と自動車専用道路を指す。高速道路では、ミニカー・小型自動二輪車(道路交通法上の分類で、総排気量については125㏄以下、定格出力については1.00kW以下の原動機を有する普通自動二輪車)・原動機付自転車は通行できない。また、農耕用作業車のように構造上50㎞/h以上の速度の出ない自動車や、ほかの車を牽引しているため50㎞/h以上の速度で走ることのできない自動車も、高速自動車国道を通行できない」と記載されている。
このことからもわかるように、高速道路の通行には相応の危険が潜んでいるのである。何もなければ極めてスムーズに走れる道路だけに、何らかのトラブル・障害が発生すると事故につながる危険性が高まるのだ。もちろん、ドライバーは意図的に事故を起こすわけではないが、高速道路は長時間運転になることも多いので、どうしても不注意による事故を100%避けるのは難しいといえよう。
そこで、安全を守るべく活躍しているのが高速パトロールだ。これには大きく分けると2種類あって、ひとつが高速道路交通警察隊だ。彼らは、交通取り締まりや事故対応などを行う警察官。もうひとつは、黄色いパトロールカーを使用している交通管理隊である。こちらは高速道路会社の職員で、道路の状態を把握し異常を発見するために巡回している。彼らの仕事は、盆も正月もない。24時間365日、交代で高速道路を通行する車両の安全を守っているのである。

いうまでもないが、これらのパトロールカーは法定速度を遵守(緊急走行時を除く)しており、基本的に走行車線を走っている。これが、一般車両からは返って障害になっているような感じを受けるともいわれるが、それは見当外れな意見である。先にも触れたように、彼らは高速道路の安全を守るためにパトロールをしているのであり、万一異常があった場合には通行車両に支障が出ないように、危険を顧みずに対処しなければならないのだ。
特に近年では、工事やトラブルなどで車線を減少させている規制帯に、通行車輌が突っ込んでくる事故が増加傾向にあるという。規制帯内の作業者は無防備だから、このような事故に遭えばひとたまりもない。そこで、規制帯の上流(車輌が走ってくる方向)端にはパトロール車輌や作業用トラックなどが、防御壁として駐車されている。これらは必ず壁側(走行車線なら側壁側、追い越し車線なら中央分離帯側)にハンドルを切るなどの工夫がされている。これにより、万一追突があっても被追突車両は壁に衝突するので、二次被害を避けることができるのだ。AIだの機械化だのがいわれていても、高速道路の安全確保にはまだまだマンパワーが必要なのである。
