ラッシングベルトなくして固定なし

一般的にはあまり馴染みのない「ラッシングベルト」。しかし、物流においては非常に重要なアイテムで、これなくして荷物を運ぶことできないのです。そこで今回はラッシングベルトについて解説していきましょう。

そもそもラッシングベルトの「ラッシング(lashing)」とは、紐やベルトなどで縛ることを意味します。そしてラッシングベルトはトラック内の荷物を確実に固定するための重要なツールです。このベルトは最小限の労力で荷物を安定して保持することができるのが最大の特徴で、運転中の荷物の動きや転倒を防いでくれます。

このラッシングベルトには「カムバックル式」と「ラチェット式」という2つのタイプがあります。

カムバックル式は、手でベルトを引き締めた後バックルで固定するタイプで、簡単に取り付けや解除ができますが、固定力は低めです。一方でラチェット式はバックル部に回転する歯車と、その動きを助けるハンドルが備えられており、ハンドルの動きによりベルトが巻き取られて締め付けられるタイプです。少ない力で強く締めることができます。

では次にラチェット式のラッシングベルトの使い方を簡単に説明しましょう。最初にバックルを開き、ベルトを通して、トラックのフック部分に固定します。次に、ベルトの端部に付いているフックをラッシング用のレールやフックなどにしっかり固定します。

その後、ベルトのたるみを手で調整しますが、ベルトが緩んでいる場合、まず手で引き締めることで、たるみを取り除きます。最後にハンドルを動かすことでベルトが巻き取られ、直接手で締めるよりも強い力で締まることで荷物がしっかりと固定されます。

一見、ラチェット式のラッシングベルトは手順が複雑なように見えますが、作業手順自体は簡単です。しかし取り付け場所や方法などはコツと知識が必要なので、その部分を次に説明していきます。

ラッシングベルトの取り付け方ですが、トラックの荷室内でラッシングベルトを使う場合は、ラッシングベルトの先端金具を「ラッシングレール」か「床フック」に固定します。

その際、ラッシングレールにベルトを取り付けると、荷物を車両前方向に押さえることができます。高さのある貨物を固定するときによく使われる方法です。固定する貨物の後端よりも前の方にある穴を選び、ラッシングベルトを取り付けた後にラッシングレールとベルトが45度以内になるよう取り付けることがポイントです。

また床フックにラッシングを取る付ける方法もあります。床フックはトラックの荷室の床面に取り付けられています。床フックを使った場合、荷物を車両の下方向に押さえることができます。高さがない貨物を固定する場合や、形状が複雑でラッシングレールでは固定しづらい貨物を積載するときに有効です。

では最後にラッシングベルトを使う時の使用時の注意点を紹介しておきましょう。ラッシングベルトは固定方法を間違えると、運転中に緩んでしまう可能性があります。そのため「ベルトを手で触って張りを確認する」「強く締めすぎない」「ベルトがねじれないようにする」「劣化したベルトを使わない」と言った注意点があります。

特に、ベルトの摩耗や金具部の亀裂や変形などは事故にもつながりかねないので、交換が必要となります。

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