大型トラックのナットは重要なチェックポイント

トラックのホイールは非常に重いパーツであり、それを固定するホイールナットは日ごろからしっかりした点検をする必要がある。1本のホイールとタイヤを合わせると何十キロという重さがあるため、万が一にも外れてしまうようなことがあってはならないのだが、それでも大型トラックのホイール脱落事故は年間で100件以上も発生している。

そこで今回は注意喚起の意味も含めトラックのホイールナットとその作業について説明していこう。

ホイールナットはただ締め付けるだけでは不十分だ。なぜなら締め付けを繰り返すたびに部品の傷みが進み、締め付けトルクに対して発生する軸力が低下していくからだ。ただし、これには「ボルト・ナットの注油を行なわない場合」という条件が付く。ナットとワッシャーの隙間への注油を行なわないと、締め付けで合わせ面がこすれて荒れることにより、発生する軸力が低下しやすくなるという理由だが、新品のうちからボルト・ナットに注油を欠かさず行なうことで、締め付け回数が50回を超えても新品同様の軸力を維持することができる。そのため、ホイールナットの脱着をするのならば、注油を行なうのが正しい方法だ。

さらに適正トルクでナットを締めることも重要なポイントとなる。トルクレンチを使わずに力任せにナットを締めると、規定値よりも大幅に負荷のかかるオーバートルクになる可能性がある。それによってホイールボルトが変形して元に戻らなくなるばかりか、ホイールボルトが破損する可能性も高くなる。必ずトルクレンチを使用したうえで、設定された既定のトルクで締めるのがルールだ。

もちろん、ホイールナットの締め付けには順序があり、対角線順に、2~3回に分けて行なう。手順とその意味を知らないと、ついつい隣のナットを締めてしまうのだが、これだとホイールナットに緩みが発生する可能性があるため、手順をしっかり守ることがホイール脱落を防ぐことにつながるのだ。

このように決まった手順、決まったトルク、そしてやるべき作業があるホイールナットだが、緩みを目視できるホイールナットインジケーター(ホイールナットマーカー)を紹介しておこう。

全日本トラック協会のホームページによると「ISO 方式のホイールにおいてホイール・ナットの緩みの点検を、ホイール ・ナットへのマーキング又はホイールナットマーカーによる合いマークのずれの確認により行なっても差し支えない」と記載がある。

その実例が以下の画像だ。

装着状態

出典:全日本トラック協会 
https://jta.or.jp/

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