
トラック後部タイヤが二重で装着されていることをご存じ方は多いはずです。日常でもよく見かけるトラックだけに、それほど珍しい光景ではありません。しかし、タイヤが二重でついているのには奥深い理由があるのです。そこで今回はトラックの二重タイヤについての解説です。
トラックの二重タイヤはダブルタイヤ、ツインタイヤ、デュアルタイヤなど呼び方は多くあります。そして、こうした構造になっている理由は大きく分けて3つです。
ひとつは耐荷重性能を確保するためです。
タイヤには限界となるロードインデックスと呼ばれる耐荷重性能があり、この性能を超える重さで運行はできません。そこでタイヤを増やせば1本当たりの荷重を減らせるというのがひとつ目の理由です。
そしてふたつ目の理由は荷台の高さを低くするためです。ダブルタイヤのトラックは、前輪タイヤに対して後輪タイヤ1本の外径は小さなサイズを採用しています。これにより、荷台が低くできるので、荷物の積み下ろし作業の効率が上がります。

そして最後に、走破性をアップするため1本あたりの接地圧低減を実現するためです。
こうしたダブルタイヤは1本がパンクや破損してしまってもそのまま走行することができ、交換するタイヤもひとつで済むというメリットもあります。逆にデメリットはタイヤがパンクしてしまっていることに気が付きにくい点です。
では、ここでワイドシングルタイヤの登場についても触れておきます。名前の通り、ダブルタイヤ一本と比較すると幅が広くなっているのが特徴です。

大型トラックでは、前輪にタイヤ2本、後輪にダブルのタイヤが4×2本の、合計10本という組み合わせが一般的ですが、ワイドシングルタイヤを使用した場合、後輪は4本のシングルワイドタイヤとなるため、合計6本のタイヤで走行できるようになります。さらに約200㎏もの軽量化を実現できるのです。また乗り心地の向上も見込めるのです。
ただしシングルワイドタイヤにも弱点があり、それはパンクやバーストのリスクが高いことや、タイヤ1本のコストが高く、長距離運送用としては向いていないといえます。
またダブルタイヤの場合はひとつのタイヤがパンクしてしまっても走行はできますが、ワイドシングルタイヤだとすぐに止まってタイヤの交換をしなくてはなりません。
ダブルとシングルにはそれぞれ、メリットデメリットがありますが、今後は技術の進歩やコストダウンによってお互いのシェア率が変わっていく可能性は十分にあるのではないでしょうか。
