ルノーのフランス東部工場で100万台目のトラックをロールアウト

日本には正規輸入されておらず、公道でその車輌を見る機会もないため馴染みがあまりないが、フランスのルノーも「ルノー・トラックス」という別会社でトラックを生産している。その歴史は旧く、1906年にフランスの起業家マリウス・ベリエがルノーの創始者ルイ・ルノーに、自らが開発したエンジンを使用した、トラックを含む自動車製造をオーダーしたことから始まっている。

1956年にルノーブランドとしての商用車製造は一旦中止されたが、その事業は当時のルノーの商用車部門の子会社、ソムア社とラチィル社を合併させたサヴィエム社が継続。その後1975年、国営企業になっていたルノーがフランスの産業政策により当時ミシュランが所有していたシトロエンの子会社・ベリエ社(先述のマリウス・ベリエが1899年に興した自動車メーカー)を買収。1978年にサヴィエムとベリエを合併し、ルノー・ビークルズ・インダストリーズとしてルノーブランドに復帰した。現在はルノー本体との資本関係はなく、2001年にボルボ・グループに買収され、同社のグループ企業になっている。

そのルノー・トラックスのフランス本国東部にある工場、ブール・カン・ブレス工場にて2025年3月18日、通算100万台目のトラックがロールアウトされた。同工場は1964年に開設。長距離輸送用、建設用トラックの生産拠点として機能してきた。現在では同社のフラッグシップモデル、ルノーTをはじめ、2023年にはEVトラックのE-Tech T、E-tech Cの生産も開始。顧客の特定のオーダーに応じて1台ずつの製造体制をとり、年間2万5000台のトラックを生産している。

今回100万台目のロールアウトを迎えたのはルノーTのトラクタ。同モデルの12万6600万台目の車輌で、ポルトガルの運送会社、TJA社に納車される。

このルノーTの2025年モデルはパワートレインの最適化により最大3%燃費を向上させ、さらに同モデルとフロアを高めフラットフロア化を図った最上級モデルT-Highには長距離用途向けに燃費を最適化した「スマートレーサー」も用意され、標準モデルより燃料消費量を14%削減、CO2排出量も15%削減させている。

また同じくブール・カン・ブレス工場で生産される、Tと同じキャビンを使用するEVトラックのE-Tech Tは、2024年にルミロールと呼ばれる電気を流すことで発行する特殊塗料をペイントした「ダイヤモンド・エコー」という名のトラクタのデモカーで欧州7カ国を巡り、60カ所で「電動モビリティのリアル」をアピールするツアーを実行している。

ページトップに戻る