
高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)は、設備・飲食・物販に至るまで充実しており、ちょっとしたショッピングモールのような発展を遂げている。これに対して一般国道にあるドライブインは、減少の一途をたどっているという。
トラックドライバーにとって、どちらも欠かせない施設ではあるが、昭和ノスタルジックな雰囲気をまとって値段も手頃なドライブインは、どこか懐かしい感じがするオアシスのような存在だ。
全国各地に点在するドライブインにはそれぞれ特徴があって、それを目当てに来店するドライバーも多い。そんな名物店のひとつである「ヒモノ食堂」は、三重県四日市市を通る幹線道路・国道23号線沿いにある。この道路は、愛知県豊橋市から伊勢湾に沿って名古屋港を経由し、三重県の四日市市・津市を通って伊勢市に至る半環状道路だ。三重県の幹線道路であると同時に、中京工業地帯を通るためトラックの往来も多いという。

「ヒモノ食堂」のルーツは、やっぱり干物。1936年に煮干しの製造販売から始まって干物を商うようになり、それを食べられる場所として1985年にドライブインを開業したのが始まりだ。看板や入り口はシンプルな造りだが、扉を開けて店内に入ると目に飛び込んでくる干物の数は圧巻である。アジ・縞ホッケ・サバ・赤魚・サンマ・キンメ・つぼ鯛・キンキ・カラスカレイなど、季節や日によって違いがあるものの、実に多くの干物が並んでいる。


客は好みの干物を選び、それをカウンターに渡して呼出し番号をもらう。選んだ干物は厨房で約15分程度かけてじっくりと焼いてくれるのだ。焼き上がれば、番号札と引き換えに受け取る。ごはん・みそ汁はもとより、小鉢やおでんなどのサイドメニューも充実していて、大食漢でも十分満足できるのがうれしい。店名に「ヒモノ」と入っているぐらいなので、その味は折り紙付き。グルメサイトの評価は高く、口コミも好印象なものが多い。

干物は種類が多いだけではなく、一品モノや規格外サイズのものもあるため、何回訪れても飽きることがない。地元の人たちはもちろん、長距離トラックドライバーにも大勢のファンがいて、高速道路を避けてわざわざ来店する人もいるという。素材となる魚を厳選して仕入れ、秘伝の技で干物に仕上げていることや、絶妙な焼の技術で旨味を引き出しているのが人気の秘密といえよう。
この店舗ではその場で味わうだけではなく、店内で販売している干物はすべてお土産としても購入可能。また、お土産用の焼さば干物寿司はちょっと他では見かけない干物のお寿司。干物の塩辛さと酢飯が絶妙なハーモニーを奏でている。数量限定なので、売り切れる前に購入したい逸品だ。このほかにも、干物の規格外品詰め合わせを数量限定で販売。これは、かなりお得なセットになっている。

四日市の店舗は本店で、ほかに鈴鹿店(三重県鈴鹿市)・扶桑店(愛知県扶桑町)がある。三重県方面に行った際には、ぜひとも立ち寄ってみたいドライブインである。
ヒモノ食堂四日市本店
三重県四日市市富双町2-1-30
平日7:00~19:00(ラストオーダー18:30)
休日7:00~20:00(ラストオーダー19:30)
年中無休(年末年始を除く)
TEL 059-365-3123