
長距離を走るトラックドライバーにとって愛車の燃料タンクの増設は、給油回数が減ることでストレスなく移動できるため嬉しい出来事のようです。
そもそも新車時に設定されている燃料タンクの容量が少ないということもあるのでしょうが、後から燃料タンクを増やすというのはトラックならではの作業といえます。そこで、今回はトラックの燃料タンク増設について説明していきましょう。
普通、燃料タンクといえば外からは見えない場所に設置されているパーツです。乗用車の場合は後部のトランクスペース下などが一般的であり、その容量も軽自動車なら20~30リットル、大型の輸入車なら80~100リットルくらいの大きさになります。
しかし、トラックの場合は長距離を走るために燃料タンクの容量も大型になれば200リットル以上が当たり前です。しかし、ボディ自体も重く、重量物を長距離運搬するためには200リットル程度だと足りないケースが多々あります。そこで燃料タンクを増やすという作業を行うのです。とはいえば無尽蔵に燃料タンクを増やすことはできず、しっかりと法律によって決まりがあります。


まず燃料タンク増設の場合、ガソリンの場合は200リットルまで、軽油の場合は1000リットルまでと決められています。とはいえ、1000リットルを1台のトラックに積むのは現実的ではなく、たいがいは400~500リットル程度の燃料タンクを持つケースが多いようです。リッターあたりの燃費が4キロ程度の10トントラックでも500リットルタンクで走行可能距離は2000キロだと考えると十分な容量といえます。
しかし燃料タンクをただ追加するだけでトラックが走れるかというとそうではなく、重量の問題をクリアする必要があります。基本的に、車体部分の重さ+最大積載量が最大総重量の制限以下である必要があります。そのため燃料タンクを増設した場合は、燃料が増える分だけ積載量を減らして登録をしなおす必要があるのです。

もし最大積載量をそのまま減らさずにいると、積載量の水増しなので「道路運送車両法違反」になります。さらにトラックの燃料タンクの個数と容量は自動車検査証に記載されており、登録後の車両に燃料タンク増設を行うと、自動車検査証の記載内容と相違が出るため、これも違法です。
荷台下のスペースが十分に確保できない場合は燃料タンクの増設はできません。燃料タンクは形が似ているので簡単に増設ができそうですが、実は細かな仕様や作りがそれぞれ異なるため手軽に増設とはいかないのです。
では最後に、燃料タンクの新基準について解説しておきましょう。トラックの燃料タンクは車両火災防止協定規則により、燃料漏れ防止基準(UN-R34)という基準改正が行われています。認可年月日が2018年9月1日以降の新型車には、新基準の燃料タンクを取り付けなければいけないため、形状や大きさが問題ないとしても旧基準のタンクを使用すると違法になるため、これもまた注意しなければいけないポイントです。