死角をなくせ! トラックのミラーを知ろう

トラックのミラーをじっくりと見たことはなくても、その独特の数と形状はなんとなく思い浮かぶのではないだろうか。一般的な乗用車と比較するとボディが大きい分、死角も多くなるわけだが、その死角を小さくするために、色々な工夫がされているのがトラックのミラーなのだ。

通常、キャビンに取り付けられているのはサイドミラー、サイドアンダーミラー、アンダーミラーの3種類。まずはそれぞれの役目を説明していこう。

サイドミラー

左右に設置され、縦にふたつ並んでいるミラーのうち上側にあるのが「サイドミラー」だ。このサイドミラーは普通の乗用車に付けられているサイドミラーと同じで、トラックの側面と後方を確認するためのミラーとなっている。

サイドアンダミラー

サイドアンダーミラーはトラック特有のミラーといえる。サイドミラーの下に設置され、サイドミラーだけでは見えない部分(助手席や運転席の直下の死角)を補ってくれる。サイドアンダーミラーがあることによって、巻き込み防止や右左折時の死角をカバーでき、広い範囲が映り込む広角ミラーが採用されている。

アンダーミラー

円形のものが一般的で、もっとも内側に装着されているのがアンダーミラー。アンダーミラーは、車両前方の直下(左前方から正面足元の死角)を確認するために装着される。車高が高いトラックは、前方直下が死角になりやすいため、その部分を補う非常に重要なミラーと言える。

上記3つのほかにもサイドミラーを補助するバックショットミラー(ハイウェイミラー、・クルージングミラー)などがある。

このなかでもサイドアンダーミラーは大型トラックが1978年から、中型小型トラックなどは2003年から装着義務化されている。

その背景には1970年代に多発した大型トラックの左折時の巻き込み事故がある。その対応で道路運送車両の保安基準として、大型トラックに対してサイドアンダーミラーの装着が義務付けられたのだ。その後、2003年にはボンネットを持つ車高の高い乗用車と、小型トラック、中型トラックも対象に拡大された。

さらにミラーなどを用いることにより、指定された車両の直前と左側方(左ハンドル車については右側方)の視界を確保する「間接視界基準」が導入される。

これは「自動車の前面および左側面(左ハンドル車にあっては右側面)に接する高さ1m、直径0.3 mの円柱(6歳児を模したもの)を直接または鏡、画像等により間接に視認できること」というものだ。

トラックには死角が多いことから、事故を未然に防ぐためにもいろいろ工夫や法整備がなされていることがお分かりいただけただろう。

また間接視界基準は、2005年の1月以降に生産された新型車両や、2007年1月以降の年式で作られた継続生産車から適用され、これらの時期以降に生産された車両の場合、直視かカメラ、モニターを使った画像によって「直前側方視界基準」を満たしてなければ、サイドアンダーミラーの取り付けが義務化されている。

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