
トラックドライバーの苦労として、外せないのが荷積みと荷降ろしだろう。トラックの役割が荷物を運ぶことである以上、出荷・着荷先で荷積み・荷降ろしが発生するのは当然だ。それでも、ラストワンマイルの軽バンや小型トラックなら、荷物の量はある程度限られてくる。長距離便の大型トラックなら、工場から物流拠点に運ぶなどといった運用が中心になるので、出荷地点や着荷地点がそれぞれ1ヶ所である場合が多いとされていた。
ところが、「物流の2024年問題」によるドライバー不足が深刻化してきたために、荷物をより効率的に運ぶ必要性に迫られてきた。その対策のひとつとして、共同輸送が広がり始めている。これは、異なる複数の事業者などが協力をして、同じ方面の荷物を1台のトラックで運ぼうという試みだ。この場合、出荷地点・着荷地点が共に複数箇所になる。そのため、荷物を段取りよく整理してトラックに積まなければ、荷降ろしに大きな手間がかかることになってしまうのだ。
そこで注目されているのが、コンテナ式のボックスだ。これまでも、かご車やパレットは利用されてきているが、これらは重ねて積載することができない。コンテナなら作りがしっかりしているので、荷物に悪い影響を与えずに重ねることができるのだ。さらに、コンテナは用途によって様々な種類が存在する。たとえば、医薬品や機密書類などを輸送するのなら鍵付きのものであるとか、コーヒーや芳香剤など他の荷物に臭いが移る荷物なら、臭いを閉じ込めるタイプといったものなどがある。もちろん、冷凍・冷蔵など温度管理のできるコンテナや、3m程度の長い荷物に対応したタイプも用意されている。

コンテナの内部には仕切りや引き出しを設けることもできるので、小さな荷物も効率よく積むことが可能だ。また、コンテナ下部はパレットと同じ構造になっているため、フォークリフトを使って簡単に積み下ろしができる。コンテナ上部には、バラ積みの荷物やパレットに載せた荷物も積めるので、高い積載効率が期待できるのだ。

このほかにも、繊維業界で取り扱われる長尺の反物輸送を想定して、可変式の輸送用ラックも登場している。長尺反物のような荷物は長さがあるだけではなく、その寸法が一定しないことが多い。このような場合、既存の規格を持つラック・パレットなどではまとまった量の輸送がしにくく、結果的にバラ積みで扱わなければならなくなる。

可変式の輸送ラックはその名のとおり、ラックの長さや荷物を押さえるガイドなどのサイズを変更することができるので、規格の違う反物を同時に輸送できるようになっている。同じ荷主の同じサイズの荷物をたくさん運ぶのであればこういった工夫の必要はないが、ドライバー不足を補って積載効率を上げるためには、複数の荷主の様々な荷物を同じトラックで運ぶことを考えなければならない。その際に、こういった様々な道具を組み合わせて使用すれば、積載効率を上げることが可能になる。将来的にはAIが最適なBOXやラックを選択して、集荷・配送ルートを提案するといったシステムも、開発されるようになるのだろう。