謎の黒い牙を持つトラックを発見! これっていったい何のため?

毎度のことながら、不思議な光景に出会うと勝手な想像力が発動してしまう。そして今回はトラックの後部についている謎の「牙」についてのお話。

あれ? と思ったその姿は、トラックの後部に取り付けられている黒いホース。結論からいうと、これは排水用のパイプだ。

しかし筆者は勝手に「全長の長いトラックの後方に障害物がないかどうかを探るセンサー」だと思っていた。冷静に考えればそんなワケないのだが、このホース部分が何かに当たると運転席でわかるのかな? と。無知とは恐ろしい……(汗)。

ある日、街で見かけた長い牙を持つトラックの姿。そういえばちょっと前はよく見かけたが、いまでは数も減ったという印象だ。そこでこの物体の正体を知りたくなったのだが、名前も機能もわからない。そこで当サイトの公式Xアカウントで質問したところ、心優しいフォロワーさんが、これが「ウォーターパイプ」というパーツであると教えてくれたのだ。ここまでくれば後は簡単、その正体を調べていくだけだ。

この牙のようなパーツは「ウォーターホース」「ウォーターパイプ」「水抜きホース」「鮮魚ホース」など、呼び方はたくさんある。ちなみにトラック界隈での通り名は「象牙」だ。このホースの本来の目的は、箱の掃除をするときに水が流れやすくなるように取り付けられたもので、運んだ荷物の臭いが残らないように荷室内を清掃するときに活躍するパーツなのだ。

このホースはすべてがアフターパーツということではなく、架装メーカーが同じようなホースを作っている。そして冷気が逃げないための工夫として、先端が先細りになっている。さらに、そのホースの根元には、ゴムの栓がついているため、これを閉じれ冷気が外に逃げない仕組みになっている。

では、このウォーターホースにはなぜ形や大きさに差があるのだろうか?

先に説明したとおり、ウォーターホースは清掃時の水分を排出する役目があるわけだが、ときにはゴミなどがこのなかに詰まってしまって、排水性が極端に落ちることがある。そこで、ごみが詰まらないように太めのホースに付け替えたのが、牙のようなホースを付けた後の姿というわけだ。

このことからドレスアップだけでなく、非常に機能的なパーツだということがわかる。さらにエアサス車であれば後輪を限界まで落とせば、後部左右の水抜きホースから排水できるうえに、ホース出口が外側に向いていることで塩分の含んだ水がシャシーなどにかからないようにするという意味もある。

こうしたリアに取り付けられているカスタムされた排水用のホースは、ゴム製の軟らかい素材が使用されている。

純正のウォーターホースはあまり目立った形をしていないため、トラックの近くによってよく見ないとその存在がわかりにくいが、冷蔵車や冷凍車に装備されている非常に重要な装備なのだ。そのい一方でカスタムされたウォーターホースは、走行中でも外から確認できるが、あまり大げさに飛び出たものは法令的に違反となるため、街中で走る姿を見ることはあまり多くないのが実情だ。

ページトップに戻る