
まず、最初にいっておきたいことがある。こんなに充実した施設なのに入場料が無料なのだ。いまどき無料で楽しめる場所などそうそうないし、同じ規模の博物館なら入場料で1000円したっておかしくない。そしてこの施設の名前は「日野自動車21世紀センター」だ。トラックやバス、乗り物に興味がある人や日野自動車ファンの間では、有名な博物館なのだ。
そこで、筆者は空いているであろう平日を狙って訪れてみたので、その一部を紹介していこうと思う。
先ほど入場料が無料だと書いたが、さらに駐車場代もタダなのだ! 施設に入る前からテンション爆上がりだ。ガードマンに誘導されるがまま、クルマを止めて入口に向かう。
最初に出迎えてくれたのはデーンと置かれた新型プロフィア。

その名前は聞いたことがある。トラックの車種に詳しくない筆者が知っているくらいだから、きっとトラックドライバー憧れの1台に違いない。普段はゆっくり見られない細部までジロジロと観察してみた。


展示物だけあって細部までピカピカだ。下からのぞき込む機会もなかなかないので、じっくりと観察してみた。



さらに少し進むと、もう魅力的なクルマがズラリ。旧い消防車やボンネットトラックもそうだが、とくにダカールラリーで活躍した有名な日野レンジャーに視線は釘付けになった。1996年当時、走行シーンの写真などは当時よく目にしたものだが、実際に近くでみると……まんまトラックやん。ある意味新鮮だった。

そしてついに入口へ。SFチックな入り口をくぐりエレベーターで上がっていくとそこが博物館の入り口だ。受付で名前を書いたら、あとは自由に見学できる。

館内で最初に目にするのは精巧なミニチュアカーの数々。トラックマニアでなくても、クルマ好きなら思わず欲しいと思ってしまうほどの完成度。しかし、すべて非売品なので、買うことはできなかった。


ミニカーのショーケースに別れを告げて先に進むと、そこには憧れの運転席が! 正確には「路肩退避型ドライバー異常時対応システム」のシミュレーターだ。簡単にいうと、ドライバーに何らかの異常が起きたときに、その異常を感知して車が自動で路肩に車両を停車してくれるという優れもの。早速、あこがれの運転席の乗り込んでみた。すべての操作を体験するというよりは、ドライバーの異常を察知した後のクルマの挙動を知ることができる。これはスゴイ機能だと感心するばかりだった。



どんどん先に進めば進むほど、その展示物の内容が濃くなっていく。バスや物流の歴史はもちろんのこと、近未来に実現するであろう最新の技術までを惜しみなく紹介してくれているのだ。何度もいうが、この内容で無料だ!


こんな未来的なバスも2013年の東京モーターショーに出品されていたのだ。なんと今から12年も前のこと。

いまや知る人ぞ知るといった日野ブランドの乗用車も展示されている。あらためて見ると、今も通用するほどのスタイリッシュなデザインを持っているものや、現代風にリバイバルしたらヒットしそうな車種まで、日野自動車のセンスの良さが伺えた。

館内の終盤には歴史的なエンジンが展示されていて、至近距離から観察することができる。昔のエンジンのカットモデルもあり、内燃機関の知識が少しでもあれば、非常に面白い空間となっている。


ここで紹介したのは、展示物のほんの一部に過ぎない。バスやトラックに興味がなくてもぜひ一度は見学してみて損はないだろう。レストランやお土産コーナーも充実しているし、飽きることなく体験したり知識を蓄えることができる博物館なのだから。
日野自動車21世紀センター
tel.042-637-6600