
水陸両用なんていうのは、アニメかおもちゃの世界だけと思っていたら、なんと現実世界にもありました。それも長い歴史を持つ水陸両用マシンが! その名も「水陸両用ブルドーザーD155W」。
世界的にもよく知られた存在である建設機器メーカーの小松製作所(KOMATSU)によって生み出されたモデルなのです。
このD115Wは普通の重機と違う部分が多くありますが、ラジオコントロールで操縦する水陸両用ブルドーザーであるというのがすごいところ。つまり遠隔操作で陸でも水中でも作業ができるということなのです。
ただし、水陸両用ブルドーザーは陸上で使用されているブルドーザーを単純に水密化したものではなく、水中作業に適応するために各種の安全感知センサーと警告装置、水圧に応じた機械の内圧調整機構等、様々な工夫がなされている点もポイントです。

このD115W、水陸両用という男子ならワクワクする未来の性能を持ち合わせているというから、それなりに最近のモデルかといえばそんなこともなく、現在も稼働しているこのモデルが登場したのは、1976(昭和51)年のことなので、その歴史は50年と意外と昔からある重機ということになります。
独自の設計によって水上と陸上の両方で運用できる特殊な建設機械だということは説明したとおりですが、河川や湖沼、湿地、干拓地など、従来のブルドーザーでは対応が困難だった環境下でも高い作業効率を発揮します。
現行機であるD155W-1は水深7mまで作業が可能で、操縦は陸上にいる熟練のオペレーターがラジコンで行なうのですが、水中に入ると本体が見えなくなるため水上に出ている吸排気ダクトの傾きや、負荷音、挙動で土砂を掘削しているかを判断するというから、その操作には熟練の技が必要なことが想像できます。
この水陸両用重機D115Wは現在は5台が稼働しており、開発時に深く関わりのある「青木あすなろ建設株式会社」が所有しています。
その雄姿を青木あすなろ建設の公式HPでじっくりと解説してくれているので、興味がある人はぜひ覗いてみてほしい。コンテンツの中に動画もあるので見ごたえ十分です。
青木あすなろ建設
https://www.aaconst.co.jp/suibull

最後にD115Wの特徴について、少し追記しておきましょう。D155Wの構造は、一般的なブルドーザーと比較して数多くの改良点があります。そのひとつが浮力体と密閉構造。
車体下部やサイドに大型のフロート(浮力体)が装着されており、これにより本体が水面に浮くことができます。また車体やエンジンルーム、油圧系統といった主要部は密閉構造であることに加え、エンジンの吸気・排気は高い位置に設置されており、浅瀬や浸水下でも稼働できるのです。
水陸両用という言葉からいろいろなものを想像したと思いますが、実際にロマンが詰まった重機の姿はみなさんにどう映ったでしょうか。