「バスがスケルトン? ボンネットはどこ行った? バスの変遷あれこれ」

「スケルトンボディのバス」という言葉を聞くと、普通なら「中身が見えるバス?」と思いがちだが、それは当然かもしれない。なにせスケルトンは透明・半透明の素材やデザインで内部の構造が透けて見えることを意味する言葉であり、それが一般的な認識だろう。

しかしバスにおけるスケルトンボディは、建築用語の「建物の柱や梁・床などの構造駆体(こうぞうくたい)のことなので、中身が見えるバスのことではないのだ。

ではさっそくバスの変遷について説明していこう。

1980年代前半までのバスは、屋根が丸く、外板をリベット止めしているのが普通だった。しかし1980年代以降、車体が角張ってリベットレスのスマートなボディに変わっていくのだが、それらが「モノコックボディ」「スケルトンボディ」と呼ばれるものだった。

ではバスにおけるスケルトンボディをもう少し詳しく説明していこう。モノコックボディ全盛の時代に登場したスケルトンボディは、時代の流れに沿ってモノコックボディに代わって主流となっていった。そのシンプルな構造から、主にバスで採用されていくことになる。

このスケルトンボディは車両の骨格部分だけで構成されたフレーム構造のことを指し、主に鋼やアルミニウムなどの強度と耐久性に優れた素材で作られている。これがボディの外板や内装を取り付ける基盤となるわけだ。

(画像出典:ウィキペディア)

そして、スケルトンボディのバスを日本で初めて製造したのが日野自動車だ。そして1977年に日野自動車が大型観光バス「日野スケルトンRS」で、日本初となるスケルトンボディを導入している。

では、次にボンネットバスについてみていこう。

現代バスの主流となったスケルトンボディとは逆に、昔は見かけたのに今では珍しくなった乗り物となったのがボンネットバス。

ボンネットバスとは、エンジン部分が車体前方に突出し、独立した「ボンネット」で覆われているバスだ。形を見ればわかるが、運転席より前にエンジンが配置されているのが大きな特徴で、日本各地で運行されていたのは主に1950年代~1970年代だから、全盛期は今から50年ほど前になる。

ボンネットバスのこの構造的なメリットは、エンジンや駆動系へのアクセスが容易で、メンテナンス性に優れている点だろう。また、運転席とエンジン部分が分離しているため、エンジンから発生する熱や騒音が車内に伝わりにくいのも特徴のひとつ。その一方で、エンジンスペースがそれなりの容積を占めるため、車体長に対して客室のスペースが限られてしまうのがデメリットだろう。

スケルトンボディのバスとボンネットバス。どちらも時代の流れとともに、構造や立ち位置が変わってきた乗り物だが、その歴史を知るとなかなか興味深い変遷があることがわかるはずだ。

今回の記事執筆にあたり参考としたのは乗り物系の博物館だが、興味がある方はぜひ訪れてみてほしい。ついつい長居してしまうほどの魅力がある空間なのでオススメだ。

電車とバスの博物館|東急電鉄

https://denbus.jp

日野自動車 21世紀センター

https://www.hinohutech.co.jp/hht-hp/wp/?page_id=2595

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