
トラックには一般的な乗用車にはない装備がいくつもありますが、今回は「アオリ」と呼ばれるパーツの形や素材、機能について説明していきましょう。
アオリとは、トラック荷台の周囲に取り付けられており、荷物が落ちないようにするための板状の部品のことです。このアオリは平ボディやダンプ、ウイングといったトラックに取り付けられており、材質や大きさなどが異なる様々な種類が存在します。これはトラックの用途に合わせて使い分けられているからです。
アオリはシンプルな外見ながら、非常に便利かつ重要なパーツであり、これらはみな蝶番(ちょうつがい)で荷台に取り付けられているため、外側に開閉する仕組みになっています。そのため荷役作業の際は、アオリを開くことで効率的に貨物を積んだり降ろしたりすることが可能なのです。
こうしたアオリは素材も形もバリエーションがあるので、ここで紹介していきましょう。
鋼製
平ボディやダンプトラックに使われるアオリのなかでも一番オーソドックスな素材です。アオリ自体に重量があるのも特徴のひとつです。また、素材の性質上、塗装していても作業中の傷から錆びが発生することがあります。
アルミ製
鋼製のアオリの弱点である錆びやすさを解決したのがこのアルミ製です。また鋼製に比べて格段に軽いアルミ製は開閉しやすい上に、最大積載量を増やすことができるというメリットがあります。
ステンレス製
アルミ製と同様に錆びないことと、高い耐久性を持っています。ただしアオリ自体の価格が高価になってしまうことと、傷つきやすいというのが難点です。
木製
アオリの素材としては珍しいのが木製です。他の素材と比較すると柔軟性が高いため、壊れやすい荷物や牧畜用の飼料や干草などの運搬に使われます。木製は軽い上に、錆びないことも木製アオリの魅力といえます。ただし耐久性が低いので重量物の運搬には不向きです。
では次にアオリの形についてです。荷物が落ちないようにガードしてくれるという役目は同じですが、その形もバリエーションがあります。
板チョコ

表面が凸凹しており、その形状から名付けられたのが「板チョコ」です。デザイン性に優れているだけでなく、比較的軽いので車両総重量を抑えることができます。
す。
額縁(がくぶち)

もっとも一般的なのが、額縁と呼ばれるタイプのアオリです。構造の主体となる鉄部材を中心に鉄板があるシンプルな作りになっています。
船底(ふなぞこ)

下部が船底のように湾曲しているのが特徴です。側面のアオリは固定され、後方のみが開閉するタイプが多いのです。砂などの運搬に多く使われます。
面一(つらいち)

アオリの表面が一枚の鉄板のみなので面一と呼ばれます。シンプルなデザインで人気も高く、その名のとおり表面に凸凹は一切ありません。塗装がしやすく、洗車もしやすいタイプです。
いかがだったでしょうか。普段は何げなく見ているトラックのアオリにも、素材や形を用途によって使い分けているのがお分かりいただけ多と思います。一般的には馴染みのない部分ですが、トラックの世界は奥深いですね。