
クルマを運転する人なら絶対にその存在を知っている、いや運転しなくても歩いているだけで目にする機会が多いのが「視線誘導標」。いったいなんのこと? と思うかもしれないが、この形を見れば見慣れたものであることがわかるはずだ。
でも、この物体の名前を即座に「視線誘導」標と言える人はそうそういないだろう。ちなみに「デリネーター」という答えも正解だ。
さてこの視線誘導標だが、その役目は運転者の視線や注意を特定の方向へ誘導し、走行中の安心感を与えるとともに、道路形状や進路をわかりやすく示すたことだ。一般的には、道路やカーブ、分岐点、橋梁、トンネルの出入口など、視界や進路が不明瞭になりやすい箇所に設けられているが、最大の目的は、交通事故の防止と道路利用者の安全確保だ。

視線誘導標は夜間や雨天・霧など視界不良時でも高い視認性を持つよう、反射材や発光体が使用されていることに加え、形状や色彩が統一されているのが特徴だ。また設置位置や間隔、角度などが細かく規定されている。
あまりにもあちこちにありすぎて、目につきすぎる(本来の目的を考えれば目立つのは当たり前だが)視線誘導標もそれぞれに役目があるので、その内容を紹介していこう。
デリネーター

視線誘導標のなかで最もポピュラーなタイプと言えるのがこのデリネーター。設置場所はガードレールの上や壁面など状況によっていろいろなタイプに分かれる。
デリネーター 防塵型

羽のようなものが付いているのは防塵タイプのデリネーター。プロペラが風によって回転することで表面を掃除する仕組みになっている。
道路鋲

道路鋲、もしくはチャッターバー。一般的には「キャッツアイ」という呼び方のほうが浸透しているかもしれない。役目は視線誘導効果のほかに車線逸脱防止効果がある。形がひし形なのは、チャッターバーにタイヤが当たると走行車線に戻ってくるようになっているからだ。
車線分離標

道路鋲よりも高さが必要な場所使われるのが車線分離標。緑と赤のものが一般的だが、青や茶色のものもある。
線形誘導標

急カーブなど危険な場所に設置する誘導標。道路の線形が分かりやすく、夜間でもハッキリ確認できる視認性を持っている。
高速道路だけでなく一般道でも見かける機会が多い視線誘導標だが、その数のぶんだけ運転者と歩行者の安全を守ってくれているというわけだ。しかし、普段はあまり注視することがないのも事実。静かに見守ってくれているという表現がぴったりといえる。

最後になったがデリネーターの基本色は、進行方向左側が白、右側が橙色だ。事故が多い場所や、高速道路の本線に流入するところなどは左右ともに橙色を設置する場合もあるので、この機会にじっくりとその姿を観察してみてほしい。