
道を譲ってくれたお礼にハザードランプを数回点滅させるサンキューハザード。この是非についてはたびたび論議が交わされるネタではあるが、今回はハザードランプだけでなく、公道での意思疎通に使われるウインカーについて考察してみようと思う。
サンキューハザードは、他のドライバーへ感謝の気持ちを伝える行為だが、これは法律違反ではないかという点についてはどうだろうか? 感謝を伝えることで、スムーズな運転や無駄なトラブルをさせることがきるのだから、問題ないのではと考えるのは当然だろう。
しかし、本来ハザードランプは緊急時や停車時に使うものであり、正式名称は「非常点滅表示灯」だ。この「緊急時」という部分がポイントで、ありがとうの意味で使うのは緊急時ではないという解釈をすれば、違反となる可能性はある。しかし、サンキューハザードが法律で禁止されていないので、この議論に明確な答えを求めるのはナンセンスと言えるかもしれない。

では、このサンキューハザードはいつくらいから一般化したのだろうか? その起源は諸説ある。もっともポピュラーなのが、1980年代から1990年代にかけて日本の交通量が増加し、都市部を中心にドライバー同士のコミュニケーションが重要視されるようになった頃から広まったとされる説だ。また、トラックドライバーの挨拶が始まりという説もある。
その一方では、元々ドイツのトラック運転手の間で行われていた習慣だという話もあるため、正しい起源はわからないものの、トラックドライバー同士の意思疎通から生まれたという説は信ぴょう性が高いのかもしれない。
では、サンキューハザードのほかに、もうひとつ直線道路での右ウインカーについて話をしてみよう。
高速道路の右車線(追い越し車線)で、右ウインカーを点滅させている車を見たことがないだろうか。これは「追いついてきたから道を譲ってほしい」や「どいてくれ」という、前方を走る車に対しての合図だ。
サンキューハザードとは違って、「ありがとう」ではなく「お願い」といったところだが、これは、前走車に対してどいてほしいという意味なので、右ウインカーを出されたほうは、あまりいい気持ちではないだろう。

こうした前走車に道を譲ってほしいという意味の右ウィンカーだが、別の方法で不用意なパッシングやクラクションを鳴らしたりするのは「減光等義務違反」「警音器使用制限違反」扱いとされることもある上に、威嚇してあおっていると勘違いされることもあるため、それよりはマシという方法なのかもしれない。
そのいっぽうで「前の車にどいて欲しい」という意味以外でも右ウインカーが使われるシーンがある。それは 減速する際、後方のトラックへの合図。
これは補助ブレーキ作動時にブレーキランプが点灯しない車種があり、後方の車に自車の減速に気付いてもらうために右ウインカーを出す場合があるのだ。このパターンは前に走っている車が出す右ウインカーなので、後続車に対しての注意喚起ということになる。
サンキューハザードも右ウインカーも、ドライバー同士の挨拶や意思表示である以上、安全な運航のために友好的な使い方をしたいものだ。
