4分ルールに地面の傾斜。ガソリンスタンドってめちゃくちゃ安全!

私たちの生活に大きく関係するガソリンスタンド。乗用車やトラック、バイクなどエンジンが付いている乗り物には絶対に必要な施設であることは周知のとおり。さて、このガソリンスタンドだが、街なかや幹線道路、埠頭に田舎道と至るところで見かけることができるわけだが、その中身は非常によくできている。

給油や洗車はガソリンスタンドの主な使い方だが、それに付随する機能や設備があるのでここで紹介していこう。

まずセルフスタンドにある4分ルールというものをご存じだろうか。

もともとガソリンスタンドでの給油は危険物取扱者乙4類の国家資格所持者が行う業務だった。しかし1998年の消防法改正により、給油が作業の条件が緩和されて生まれたのがセルフスタンドなのだ。

この規制緩和の条件内に盛り込まれたのが「4分ルール」であり、この中に給油量と給油時間、給油ノズルのオートストップ機構、静電気対策といったものが含まれていた。

そして1回で可能な給油量はガソリン・ハイオクが100L、軽油が200Lまで。速度は、毎分30〜35L(軽油の高速型は毎分35〜70L)なのだが、給油にかけられる時間は「4分まで」というのが決まりとなっている。これが4分ルールの正体だ。

では給油時間が4分を超えるとどうなるのかと言えば、満タンになっていなくても給油がストップしてしまう。例えば給油のノズルをあまり握らずに、通常よりもゆっくりとしたスピードで給油したり、給油を途中で止めたりして4分をオーバーすると、その時点で勝手に給油は止まり、また最初からやり直しとなるので、あまり時間をかけた給油はお勧めできない。

逆にガソリンスタンドのスタッフが給油を行なうフルサービススタンドの場合は、時間に制限はなく、ガソリン給油量も最大で毎分45Lまで引き上げられている。

では次に、普通では絶対に気が付かないガソリンスタンドの構造についての工夫を紹介しよう。ガソリンスタンドを頻繁に使う人でもあっても、まず気が付かないのは「ガソリンスタンドの地面が傾斜している」とことだ。

これは、地面が傾斜していることで、万が一ガソリンや軽油がこぼれたとき、溜まらずにガソリンスタンド周囲にある排水溝へ流し込むことができるというのが理由だ。実際の傾斜度は排水溝に向かって1/100〜1/200という数字なので、傾斜を感じるのは難しいと言える。

余談だが、この排水溝に苦い思い出があるライダーの方は少なからずいるのではないだろうか。ガソリンスタンドの出入り口を横断するように設置されている排水溝は、バイクにとってはちょっと厄介で、溝に対して浅い角度で侵入するとタイヤがすっぽりとはまってしまうことがあるのだ。クルマのタイヤなら幅があるので気にならないが、タイヤが細いいバイクは排水溝の通過に気を付けてほしい。

さて、こうした安全対策がなされているガソリンスタンドだが、このほかにも防火塀の設置が義務付けられていることも重要なポイントだ。

ガソリンスタンドの壁はただ壁ではなく、火事や事故の際に隣接している建築物等への影響を避けるべく、高さ2m以上そして耐火構造又は不燃性材料製の壁となっている。そして、この防火壁は自動車などが出入りする側を除き、すべての方向に設置しなければならないのだ。(ただし、一定の条件を満たせば、一部免除される場合がある。

ではその危険物となるガソリンはどこに貯蔵されているのか? その答えは「地下埋設」だ。そして、地下に埋める理由も安全対策のひとつだ。ガソリンの貯留タンクを地下に埋めることで、万が一タンクの変形や破損があってガソリンが流出した場合でも、二次被害を最小限に食い止めることができるというわけだ。

こうした構造によって、ガソリンスタンドは、地震が発生しても倒壊や火災などの被害を受けにくいのだが、過去の阪神淡路大震災時には、多くの建物が火災や倒壊などの被害が出る中、ガソリンスタンドの火災・倒壊数が0だったという事実からも、ガソリンスタンドの安全性の高さがうかがえる。

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