
どうやらタイと言う国のカスタムは、派手であればあるほど素晴らしいという文化のようだ。色鮮やかで独創的なカスタムされた観光バスが街を走り抜けている光景に出会うことは珍しいことではなく、どのバスも存在感のあるエクステリアで主張しているのだ。もともともボディが大きなバスだけに、その迫力はなかなかのもので、日本では絶対に見られない(車検に通らない)ようなカスタムを多く見ることができる。日本にはトラックの外装を煌びやかに飾るデコトラと言う文化があるが、そのタイ版がデコバスというところだろうか。ではさっそくデコバスの一部を紹介していこう。

まずはこの姿をいていただきたい。ベースがバスであることはすぐわかるだろうが、注目したいのはボディに描かれたイラストだ。筆者が調べたところによると、描かれているのは「KUBO」というアニメのキャラクターで、2016年のアメリカ合衆国の3Dストップモーション・アニメーションを用いたファンタジー・アクション冒険映画だ。日本国内でも過去に上映されたこともある。先ほどデコバスと言う言葉を使ったが、この部分だけ見ると痛バスとも言える。

後部へ回り込むと、よりデコバスらしい部分を見ることが出来る。横から見た姿は、観光バスにラッピングというベーシックにも思えるカスタムだが、デコバスの真骨頂はボディ横ではない。背面のいたるところに細かいカスタムが施され、数えていたところ追加されていたライト、照明類の数は22個だった。ちなみにバンパー部の「B7R」の文字はボルボのシャーシ型式だ。
5

別のデコバスの後部だが、こちらはスカニア製のバス、もちろん上下に20個のランプを追加しているが、先ほどのボルボに比べると若干大人しめと言えるかもしれない。そうはいってもマフラーエンドの出し方は迫力がある

エンジンフードの中に納まるのはボルボ製のエンジンだが、こちらはいたってノーマル。ちょっと安心したりして。

デコバスのもっとも特徴的な部分と言えばこのスピーカーだろう。日本であればミニバンが室内に設置するというカスタムが一般的だが、タイの場合は完全にエクステリアの一部として扱われる。しかし、スピーカーをボディと外側に装着すると雨の日はどうするの?と思うかもしれないが、じつはこれは船舶用のスピーカーなので、雨が降っても大丈夫なのです。発想がスゴイ!


そして内装はと言うと、もちろん抜かりなくゴージャスな仕上げとなっている。この手のデコバスはたいがい二階建てとなっており、一階は荷物置き場とドライバーの仮眠スペースになっている場合もある、
これらの車体は民間のボディ工場で製作されるのだが、まずシャシーを作って、その上にボディを架装するといった工程でデコバスが生まれるのだ。



タイでは数多く見かけるデコバスだが、どれも構成的なカスタムが施され、仕様のバスはほとんどないくらいバリエーションが豊かなのだ。
また夜になると車内はまるでディスコのように派手なライティングと大音量のBGMで演出されるが、これは一見の価値あり。

動く姿と夜の車内の様子はぜひ動画でチェックして欲しい。
夜のデコバス車内