
トラックというキーワードから連想できるものは数多くある。例えばトラックドライバーやトラックメーカー、さらにはダンプカーやタンクローリーなどもトラックからイメージできるものだ。
いずれも物流や工事現場で活躍する車両や人に関わることだが、そういったカテゴリーとはちょっと毛色が違うトラックを見つけてしまった。それがフードトラック。筆者がネットを徘徊しているときにふと目についたのだ。フードトラックってキッチンカーとは違うのか? どんな構造をしているのか?そんな疑問を解決すべく、今回は食にまつわるトラックのことを調べてみた。
まずフードトラックとは何かという話だが、これは食品の調理設備を備える車両のことを指す。さらに呼び方も「フードトラック」「ケータリングカー」「ケータリングトラック」「キッチンカー」とバリエーションがあるものの、すべて同じものだという解釈で問題ない。
下の画像が代表的なフードトラックだが、発祥はアメリカとされており、ハンバーガーやタコスなどの軽食をメインにフード文化の一種として発展してきたようだ。そして日本ではリヤカーを引いて販売していた焼き芋屋や屋台ラーメンという文化もあるので、国内はフードトラックという文化は独自の成長を遂げたといっても過言ではない。

さて、このフードトラックだが、普通ではなかなか構造を知ることができないが、実は食べ物を扱うだけに保健所と密接な関係のもとで成り立っている。
具体的には保健所の検査でフードトラックの内装についても厳しい基準が適用されるので、その一部を紹介しよう。
区画
これは内部構造でもっとも基本的なルール。運転室と食品取扱い施設との間に、間仕切りなどで区画を行うことが求められる。つまり運転席と調理するエリアは同じ空間ではダメということだ。
給水タンク・排水タンク
タンクサイズによって営業許可が異なっている。
給水・廃水タンクの容量が40リットル程度の場合は、簡易な調理のみ(温める、揚げる、盛り付ける等)を行なうこと、 または単一品目のみ取り扱うこと。
給水・廃水タンクの容量が80リットル程度 の場合は、大量の水を要しない、2工程程度までの簡易な調理を行なうこと、または複数品目を取り扱うこと。
給水・廃水タンクの容量が200リットル程度の場合、大量の水を要する調理を行なう、複数の工程からなる調理を行なうこと。
という決まりがある。
換気扇
多くの保健所では、換気扇の設置が義務付けられている。車内の空気を適切に換気できる設備であることが必須。
冷蔵設備
食品を衛生的に取り扱うために必要な機能を有する冷蔵庫または冷凍設備を必要に応じて有すること。つまりアイスや生鮮食品を扱う場合は必須となる。

このほかにも構造面では、屋外からの汚染を防止し、衛生的な作業を実施するために必要な構造を有すること。床や内壁及び天井は清掃しやすい構造と材料であることや、取扱品目及び取扱量に応じた十分な広さを有することなどがフードトラックには求められる。
さらに、廃棄物容器、洗浄設備、手洗設備、電源装置など、まだまだフードトラックの運用には必要なものがたくさんある。日頃街なかで見かけるフードトラックも、数多くの条件をクリアして営業しているということだ。
トラックといえば、どうしても物流で活躍する力強い姿を想像してしまうが、今回はちょっと可愛くて、我々のおなかを満たしてくれるフードトラックというジャンルにスポットを当ててみたが、いかがだっただろうか。