トラックを宣伝媒体にした、デザイントラックとは?

トラックには多くの種類があるが、中でもっとも多く目にするのがバンタイプ呼ばれるトラックだだ。荷台にパネル製の箱を搭載し、非常に汎用性が高い形状となっているため、様々な業種で幅広く利用され、高速道路だけなく一般道でもその姿を見かけることは難しくない。

この荷室となる箱型部分には、たいがい会社名や企業マスコットキャラクターが描かれている。これはトラックを所有する会社のサービスや電話番号などをアピールするのが目的だが、この部分を巨大な広告スペースと考えれば非常に強い宣伝力がある手段と言える。

そして、このトラック荷室部分の活用方法のひとつとして注目したいのが「デザイントラック」。このデザイントラックを簡単に説明すると、運送会社と自治体が連携し、新しい地域プロモーション手法として、印象的で宣伝効果の高いデザインを施したトラックのことを指す。

このことからトラックにデザインされるのは、地域の「特産物」「祭り」「伝統工芸」「産業」「観光地」「スポーツ」「アート」「地元ゆかりの著名人や作品」などで地域アピールを目的としていることがわかる。

さらに、従来のトラックに描かれたものとは一味違う部分があるのだがわかるだろうか。それは「オートボディプリンター」という技術によって描かれているということだ。

ここで、リコーデジタルペインティング(株)が発明したオートボディプリンターについて触れておこう。

オートボディプリンターは自動でいろいろなでデザインを表現していくマシンであり、デザインできるのはトラックだけでなく、シャッターやブロック、コンクリートなどの建築資材にも使うことができる。また去には航空機エアバスの垂直尾翼やビル全体への塗装実績もあり、高い汎用性も大きな特徴である。

さらにノズル部分は「粘性の高いインクを遠くへ飛ばす」という特許を取得している。この特許によって、数センチ~数十センチの距離で横方向へのプリントが可能となった。従来のプリントは上から下方向へとインクを飛ばす方式だが、オートボディプリンターは横方向へインクを飛ばすことが可能となったため、トラックの荷室側面部分にペイントすることができる。

このオートボディプリンターと運送会社、そして自治体が力を合わせた結果、デザイントラックが誕生したというわけだ。

こうしたデザイントラックで地域をPRする取り組みは、オートボディプリンターを導入している運送会社が中心となり、地域の他の運送会社にも声をかけながら、全国規模で展開されている。これは長年地域に根ざして運送業を営んできた企業だからこそ、「地域への恩返し」としての意味合いも強く、「地域と共に共生共栄」をスローガンに、地域の活性化と運送業界の成長を両立させることを目指しているのだ。

さらにデザイントラックの取り組みは運送会社のブランディングにも大きく貢献していることに加え、地域からの信頼獲得につながっていることにも注目したい。またトラックのデザイン性や地域との連携が注目されることで、ドライバー採用の促進にもつながっており、採用活動の新たな武器ともなっているというから、その効果と影響力の大きさが伺える。

最近では、自治体が「地域プロモーション」や「移住促進プロジェクト」などの予算を活用し、デザイントラックの製作費や運行費を支援するケースも増えてきているというから、今後はデザイントラックを見かける機会が増えていくに違いない。

ここでは紹介できなかったデザイントラックの画像はこちらから。

取材協力:リコーデジタルペインティング株式会社

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