
あまりお世話になりたくはないが、いざというときにはとても頼もしい非常電話。緑、白、黒のカラーリングで、その存在は誰もが知っていることだろう。しかし、この非常電話を使うとしたら、まさに名前のとおりに非常時なわけで、その仕組みや使い方を詳しく知っている人は少数派と言えるはずだ。そこで今回は知っているけど、よくわからない非常電話について解説していこう。

まず高速道路の非常電話がどこに設置されているかだが、これは「本線上」「トンネル内部」「インターチェンジ」「サービスエリア・パーキングエリア」「バスストップ」「非常駐車帯」だ。

さらに、高速道路本線上には1kmおきに(トンネル内は200mおきに)設置されているので、高速道路を走っていれば、いやでも目につくほどの数が設置されているわけだ。
では、もう少し非常電話について掘り下げてみよう。
非常電話のタイプは受話器だけのタイプと、押しボタン式のふたつだ(※一部の道路では、ダイヤル式や押ボタン式の非常電話がある)。
そのほかは会話が不自由な方のために、故障、事故、救急、火災の緊急状態をイラスト・日本語・英語で表示したボタンを備えたものも設置されている。
そして、最も特徴的なのはいずれも受話器を取ればつながる仕組みになっているということだ。緊急時に連絡するとしても、いちいちダイヤルで番号を入力する必要はないのだ。
では、この電話はどこに繋がっているのかといえば「道路管制センター」だ。受話器を上げるだけで常駐している係員が応答してくれるので、事故や故障などの状況を話せばいい。
もし非常電話に故障、事故、救急、火災の表示がある場合、あてはまるボタンを押せば、横にあるランプが点灯するシステムになっている。
ボタンがない非常電話であっても、受話器を上げただけでおおまかな位置が特定できるので、まさに緊急時にはこれ以上ないサポート能力を発揮してくれる。
非常電話を使用すると道路管制センターの係員が応対してくれるが、緊急時にはパニックを起こしてしまうケースも少なくない。何を伝えればいいのかわからなくなっても、一方的でよいのでわかる範囲の情報を伝えることが大切だ。
このときに緊急対応が必要と判断された場合は、道路管制センターの指示により交通管理隊(高速道路のパトロールを行っているスタッフ)が現地に急行してくれる。

こうして何らかの突発的な事故や故障の際には積極的に使うべき非常電話だが、使用に当たっては一度車外に出る必要がある点に注意が必要だ。非常電話はクルマの進行方向に合わせて左路肩に設置されているため、道路を横切る必要はない。しかし、本線やトンネルなど、常に車が高速で走っているところを徒歩で移動しなければならないため、安全確保の意味でも非常電話まで歩くときはガードレールの外側を移動するのが鉄則だ。さらに通報を終えた後も、道路巡回車が来るまではガードレールの外側で待機してほしい。
最後になったが、非常電話を使っても料金はかからないが、一般電話にはつながらない。できることなら非常電話を使う状況にはなりたくないが、万が一のときのために使い方を知っておいて損はないだろう。
