
物流の分野におけるパレットとは、荷物や商品を効率的に運搬・保管するために用いられる、平らで丈夫な台のことを指すのはご存じのとおり。一般的には木製・プラスチック製・金属製などさまざまな素材で作られており、その上に複数の荷物を積み上げることで、フォークリフトやハンドリフトといった機械を使い、まとめて移動させることができる優れものだ。シンプルな構造ながらパレットなしでは物流は成り立たないと言えるほど重要なアイテムなのだ。このパレットだが、形は多くの人が知っているだろうが、そこにたくさんの決まりごとや、なるほどと思えるポイントが詰まっているのを知る人は少ないだろう。そこで今回はパレットの雑学をピックアップしてみた。
パレットの歴史を探ってみると、第二次大戦での米軍の物流作戦における大量使用が普及の始まりといわれているので、80年以上の歴史があることになる。国内では1960 年代の高度成長による物流量の増大にともなって大量使用が始まった。 当初は木製パレットのみであったが、’68 年には日本でもプラスチックパレットが登場している。
木製から始まったパレットは、さまざまな素材や大きさのものが登場したが、現在の日本ではJIS(日本規格協会)にて定められているサイズ規格というものがある。

このなかで標準サイズと呼ばれているのはJIS規格の「JIS Z 0601」で、「1100mm×1100mm×144mm」と定められ、これらは「T11型パレット」や「イチイチパレット」とも呼ばれている
このほかには木製・プラスチック製・金属製・紙製の平パレットで共通している寸法は下記の7種類だ。
・1100mm×800mm
・1100mm×900mm
・1100mm×1100mm
・1300mm×1100mm
・1400mm×1100mm
・1200mm× 800mm
・1200mm×1000mm
では海外のパレットを見てみよう。海外のパレットサイズ規格を国ごとに見てみると、アメリカは1219mm×1016mm、オーストラリアは1165mm×1165mm、ヨーロッパ諸国は1200mm×800mm か1200mm×1000mm、韓国は1100mm×1100mmとなっている。各国でそれほど大きな違いはないが、韓国のみ日本と同じサイズとなっている。
こうした規格があるなかで国内では輸送コストの削減や作業の効率化を求めてパレットの標準化を進めてはいるものの、その普及率は30%以下というのが現状だ。
では次に使う条件や業界別に多く使われるパレットの種類を見てみよう。

ビールパレット
飲料、食品の業界で多く使われるのはビールケースを6箱乗せられる「ビールパレット」でサイズは1100mm×900mm。洗浄して衛生的に使用できるよう、プラスチック製となっている。
低温の冷凍食品など
食品のなかでも冷凍食品業界では1200mm×1000mmのプラスチックパレットが使用されるが、素材は冷凍下で衝撃に対して強度が保てるポリエチレン製が使われる。
医薬品
サイズは1100mm×1100mmの標準タイプを使うことが多い。これまでは洗浄も可能なアルミパレットが使われてたが、最近ではGMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)によりプラスチック化が進んでいる。
化学業界など
重量のあるドラム缶を4本積載できる1220mm×1220mmサイズを使用することが多い。重量物を運搬することを考え滑り止めと耐久性に配慮した製品もある。

では最後にパレットの穴部分についてのなるほど部分を解説しておこう。プラスチック製のパレットをよく見ると、フォークリフトのツメを差し込む部分に傾斜がついているのがわかる。実はこの傾斜、非常に重要なものなのだ。

パレットを運搬するときにツメが滑り込みやすくするための傾斜なのだが、人力で本体を動かすハンドリフトの場合、この傾斜がないとツメを差し込むとき、非常に力が必要なのだ。これはハンドリフトの構造上の問題なのだが、ハンドリフトのツメ部分には移動用のローラーが付いている。そのためパレットにツメを差し込むときにパレットの穴部分に傾斜がないと、ローラーが引っかかってしまうためスムーズなツメの挿入ができないのだ。
