ランクがあるの知ってる? ミスト噴射で濡れないの? トンネル雑学

トンネルは非常に重要な道路施設の一部であり、走行するすべてのクルマが安全に走れるような工夫や設備が多く備わっている。ただ、こうしたトンネル設備がどういうものかを知る機会は少なく、聞けばなるほどと関心する部分が多いのは確かだ。そこでここではトンネルにまつわる雑学をお届けしようと思う。

トンネルの明るさ

トンネルに入ったときに入り口付近や中央、出口付近に設置されている照明の数が均等ではないことに気が付いたことはないだろうか。さらに、とこどころ点灯していない照明があることも不思議なポイントのひとつだ。

これはトンネル出入り口で明るさの調整をしていることが理由のひとつ。日中の明るい日差しのなかから暗いトンネルに入るとき、逆に暗いトンネルから明るい場所へ出るとき、いきなり明るさが変わると、ドライバーの目が対応しきれずに視界が真っ白に飛んでしまうことを防ぐためだ。

仕組みとしては、トンネルの入り口付近は明るくし、その後だんだんと暗くしていき、トンネルの中央部が一番暗い状態になっている。

点灯していない照明器具

さらに照明に関して、消灯している部分があるのは24時間年中無休でトンネルを通れるようにするための工夫でもある。照明器具に寿命が来ると交換しなくてならないが、このときにトンネル内の照明を一斉に消してしまうと、真っ暗になってしまう。そこで交換する器具としない器具を分けることで、照明交換時にも常に一定の明るさを確保できるようにしている。

最近ではLEDの普及によって照明器具の寿命は格段に伸びたことで、近年は照明器具の交互運用を取りやめるトンネルも増えてきている。

トンネル内の高温対策

国内で最も長い首都高速の山手トンネルは、トンネル自体の長さと東京都心ゆえの膨大な交通量のため、走行車両の廃熱などの影響で夏季にはトンネル内の温度が高くなる。特に夏場の渋滞中などは室外温度表示が50度近くになることも珍しくないのだが、この状態を緩和するのがミストの噴霧設備だ。

ミスト噴霧設備は微細な水の粒(霧)を発生させ、空気中で水が液体から気体に変わるときにまわりから熱を奪う気化熱現象を利用して周囲の気温を下げるというわけだ。

このシステムの仕組みを聞くとバイクのライダーが濡れてしまう可能性を考えてしまうが、発生した霧はすばやく蒸発するため、肌や服が濡れることはほとんどないとされている。現在では首都高のK7横浜北線の横浜北トンネルでもミスト噴霧を導入している。

照明の色

トンネル内でよく見かけるオレンジ色の照明。この正体は低圧ナトリウムランプだ。

低圧ナトリウムランプは、ガラス管にナトリウムの蒸気を封入したランプで、オレンジ色の光を発するのが特徴なのだ。さらにオレンジ色の光は排気ガス、ちりなどの影響を受けにくく光が通りやすいため、水銀ランプと比べて消費電力が1/2~1/3程度と経済的な上に長寿命でもある。

近年では白色で色の判別が容易なLEDランプもトンネル内の照明として普及している。

等級はAA~Dの5段階

あまり知られていないことだが、トンネルにはAA、A、B、C、Dの等級が存在する。これはトンネルの規格や交通量に合わせて決められていて、AAから順にトンネル規格が低くなる。そして、それぞれの等級に応じた非常用設備の設置が義務付けられているのだ。

トンネルの等級別設備は消火器があればAA、A、Bのいずれか、消火栓があればAA、Aのどちらかだ。このほかにも非常電話はD以外で、誘導表示板はC、D以外で必ず設置されている。

ジェットファン

トンネルの等級に関わる設備としてジェットファンが挙げられる。見たことがある人も多いだろうが、トンネル上部に設置されたジェットエンジンのような形をした設備のことだ。

このジェットファンは排気ガスで汚染されたトンネル内に換気風を発生させることで、新鮮な空気の流入の促進、ドライバーの視界を確保という重要な役割を果たしている。

またジェットファンは排気ガスを飛ばすだけでなく、火災が発生した場合や渋滞が発生していない時は、進行方向に向かって風を出すことで、後続車両に乗っているドライバーが煙に巻かれないようにするという心強い設備となっている。

ここまでに紹介した内容はトンネルが持つ工夫や設備のごく一部に過ぎない。トンネル内での事故は大きな災害につながる可能性あがるため、様々な角度から安全対策が取られていることがお分かりいただけたと思う。

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