トラックの運転席を見せてもらったぞ

毎日当たり前のように見る物流トラック。我々の生活を陰で支えてくれる頼もしい存在だが、物流業界で働いているか、トラックドライバーでもない限り、運転席をじっくりと眺める機会はそうそうない。サービスエリアなどに停車しているトラックはよく見かけるが、休憩中に声をかけるのも悪いので、いつもは外から眺めるばかりだった。

今回運転席を見せてくれたのは神奈川県にある物流倉庫「ロジ・テック トーシン」が所有する、三菱ふそうのキャンター2トントラックだ。

しかし、今回はそのトラックの運転席を観察できる機会に恵まれたので、ここで紹介していこう。

さっそく室内を覗いてみるのだが、最初に驚いたことがある。なんとドア部分に灰皿がある! 今や絶滅したと思っていた装備との出会いだった。過去にはトラックだけでなく、乗用車にも大き目の灰皿が装備されていたものだが、時代の流れとともにその姿を消していった。しかし、トラックの灰皿はまだまだ健在だったのだ。これは運転中にたばこを吸うことでストレスが軽減し、それが安全運転につながるというメーカーの意図なのだろうかと考えてしまった。

さてシートに座ったところ、このトラックのドライバーから申し訳なさそうに「散らかっていてすみません」といわれたが、全然問題なし! きれいに片付いた室内よりも、実際に業務で使っているリアルな光景を知りたいのだから。

灰皿の次に目に入ったのはカレンダー。こちらは完全にドライバーの私物。とくに意味はないとのことだが、日付の確認は大事なのだとか。

さて、前方に視線を落とせばトラックらしいメーターがある。この日は業務を終えてからの取材だったため、エンジンをかけることはなかったがタコメーターの1000~2000回転部分にあるグリーンゾーンがたまらなくトラックなのである。わかる人にはわかるだろうが、トルク重視のエンジンは乗っていてその力強さが非常に気持ちいいのだ。

さて、今度は上部にあるバックモニター。普通のクルマでいうルームミラーである。今回のキャンターはバン型のトラックなので後部はもちろん荷室だ。そのため運転中に振り向いても後方視界はゼロ。そこで活躍するのが後部モニターなわけだが、ちょっと画像を見て欲しい。もし運転するんが自分だったらと考えると、このモニターに映る画角だけを頼りにバックできる自信はまったくない。

もちろん左右のバックミラーもあるし、慣れれば大丈夫とのことだったが、それにしても死角が多いと感じてしまうのは素人だからだろうか。

このモニターを見ながら、一番ぶつけやすいのはボディの左後ろ、つまり運転席から最も遠い部分だと教えてもらったことを思い出した。やはりトラックドライバーはすごい運転技術の持ち主だと実感できた。

さて、筆者がもっとも見慣れない機器について触れておこう。インパネに埋め込まれたデジタコ(デジタルタコグラフ)だ。これはトラックの運行を管理するための機械だが、実物を初めて間近に見たこともあるが、想像していた以上にコンパクトかつシンプルな作りだった。大きさは1DINに納まる程度で、表示も見やすい。実際の操作はできなかったが、直感的に操作できるということはひと目で理解できた。

表示部分をよく見ると荷積、待機、荷卸、洗車、休息、給油、帰庫などの文字が並び、細かくドライバーの行動を把握できるようになっていることがわかる。これらのデータは通信で運行管理者に送られるのだ。

さて、最後は後部に回って荷室を見せてもらったが、業務後なので当然空っぽ。このトラックは文房具を運搬するとのことだったが、やはり紙類は重量もありなかなかの重労働だとドライバーが話してくれた。それわかります、筆者も経験があるから。

ひととおり観察が終わったので、取材に応じてくれたドライバーさんに感謝しつつ倉庫を後にしたが、実はまだまだ観察したいものを山ほど見つけてしまった。それはまた次回のお楽しみということで。

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