ユニックとクレーンって何が違う?

「今回運ぶのはユニック車だから」。あるとき、筆者はこんな言葉を耳にした。それは建設車両を回送する仕事をしたときに、担当者からいわれたことだった。このときに見せられた画像に映った車両は、自分のなかでは「クレーン車」だった。ユニック車? クレーン車じゃないの? 素直に不思議だった。そして、同じような疑問を持つ人も少なからずいるはずだということで、今回はクレーン車とユニック車の違いについて説明していこう。

まずクレーン車だが、車両にクレーンが架装されたものと、クレーンに車輪が装備されているものの2種類がある。今回のテーマはクレーントラックなので、後者のクレーンに車輪がついているタイプは除外しておく。

そして今回クレーン車として取りあげるのはクレーン付トラックだ。これは工事現場や建設現場でよく見かけるトラックで、重いものを吊り上げて移動させる時などに使用されるタイプだ。

一方でユニック車は、通常使われている平ボディの荷台前方をカットして、キャビンと荷台の間にクレーンを搭載したトラックのことを指すことが多い。正式名称は「搭載型トラッククレーン」という。ちなみにユニック車の「ユニック」とは、搭載型トラッククレーンのトップブランド「古河ユニック」の製品「ユニッククレーン」からとられた通称。日常生活で接着剤を「セメダイン」、ティッシュを「クリネックス」と呼ぶ人も多いことだろう。それと同じだ。

ここまで読んで「あれ? じゃあ、両方ともクレーン車じゃん」と思った方、正解です。つまりユニック車はクレーンが架装されたトラックのことをいい、クレーン車はクレーンを取り付けたクルマのことを指すというのが結論。つまり、呼び方が違うだけでユニック車もクレーン車の一部ということになる。

ここで冒頭の会話を振り返ってみると「ユニック車を運ぶ」というのは、単純に個人的な呼び方の違いのみで、筆者がクレーン車と思っていたのも正しいし、担当者がユニック車と呼んだのも正しいということだ。

ちなみにだが、クレーン車と呼ばれるにはこんな条件がある。それは「荷物を人力以外の動力で吊り上げるもの。吊り上げた荷物を水平に移動させる装置。吊り上げ荷重が0.5トン以上のものが該当する」というものだ。

では最後にクレーン操作に必要な免許について説明しておこう。

可動式クレーンを操作するには、吊り上げ荷重によって必要な資格が変わってくる。そして、クレーンに荷を掛け外しする玉掛け(たまかけ)作業はクレーンとは別に免許が必要だ。

具体的には5トン以上の荷物を吊り上げるには稼働式クレーン運転士免許、1トン以上5トン未満のものを吊り上げるには小型移動式クレーン運転技能講習終了、1トン未満のものを吊り上げるには稼働式クレーンの運転業務特別教育終了が条件となる。

つまりクレーン車を運転するだけなら、自動車免許でも問題ないが、架装されたクレーン部分を動かすには、別途クレーン免許が必要ということだ。

クレーン運転の免許は誰でも受験することが可能(※免許交付は18歳から)で、独学もしくはクレーン教習所で所得することができる。

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