
物流業界において重要なポジションはいくつもあるが、一般的にはあまり詳しく知られていないものも多くある。そのなかから今回説明するのは「整備管理者」という仕事だ。2025年9月には法律で選任が義務付らけれている整備管理者を配置しなかったなどの違反があったとして、北海道の運送会社の社長が逮捕される事件が起きている。
このことからも整備管理者が重要な役目を果たしていることがわかる。そこで今回はその中身を説明していこう

整備管理者とは、事業用自動車の保守管理や経済的使用を目的に貨物自動車運送事業者から選任された人のことだ。専門的な技術者であることはもちろん、管理に伴う事務的な処理能力も必要となってくる。主な業務は車両の点検管理や整備実施計画の作成、点検整備記録簿等管理、車庫管理などと多岐に及ぶ。
整備管理者は営業所ひとつにつき1名の選任が必要だが、ひとつの営業所に100台の自動車があった場合でも人数はひとりで問題ない。
しかい、いくら法令上の問題がないとはいえ、ひとりで100台以上の車両の整備管理をするのは難しいため、状況により整備管理者の人数を増やすなどの措置を講じる必要がある。ただし、営業所の車両が5台未満のであれば整備管理者の選任義務はない。

では、こうした整備管理者になるためにはどんな方法があるのか調べてみたのでそれを紹介していこう。
基本的には自動車整備士資格の有無により取得要件が分かれる。まず自動車整備士資格がない場合だが、これは「2年以上の実務経験」と「整備管理者選任前研修の受講」が条件となる。
2年以上の実務経験だが、これは整備管理を行なおうとする自動車と同種自動車の「点検・整備」または「整備管理」の実務経験を2年以上ということだ。
さらに整備管理者選任前研修は、各地方の運輸局で行われる整備管理者選任前研修を修了しなければならない。ちなみにだが、整備管理者への選任を予定されている人であれば誰でも受けることができる。
整備管理者選任前研修は、整備管理者として必要な点検、整備を管理する能力、運転者に対して点検実施を促す指導力、道路運送車両法などの法令の基礎知識などを習得する研修で、運輸支局ごとに年間4回実施される。なお受講は無料で、研修が修了すると整備管理者選任前研修修了証明書が発行される。
次に自動車整備士資格がある場合だ。これは1級・2級・3級自動車整備士資格のうちいずれかを取得していることが条件。3級自動車整備士のみを取得している場合は、特定の場合を除いて整備実務経験が1年以上必要となる。整備士資格があれば、整備管理者選任前研修の修了は必要ない。

なお整備管理者は原則として自ら業務を執行する必要があるが、自ら業務を行なうことができない場合に、あらかじめ選任した補助者によって業務を執り行うことが可能だ。そして整備管理補助者ができる業務は、運行の可否決定、日常点検実施の指導、日常点検にかかわる業務の3つとなる。
あまりメジャーな資格ではないが、整備管理者には法令の理解管理能力、事務能力、指導能力などが求められるため、誰でもよいというわけではないのだ。
