トラックドライバーしか乗れない船 それがRO-RO船

車両を運ぶ船というと、真っ先に思い浮かぶのがカーフェリーだろう。移動速度という点では、車や電車と言った乗り物には及ばないが、大量も荷物を一気に運べるという強みがある。

そんな船のなかにもトラックドライバーしか乗れない船がある。その名も「RO-RO船」だ。

RO-RO船とは一般的には、海上運送法及び、内航海運業法に基づき届出をした、貨物または旅客定員が12名以下の船舶のうち、貨物の積み(Roll on ロールオン)下ろし(Roll off ロールオフ)のためのゲート(ランプウェイ)を有する貨物用の船舶のことを指す。

つまり、貨物を積んだトラックやシャシー(荷台)ごと輸送する船舶ということだ。

このRO-RO船だが、その作業が港でトレーラー乗船し、貨物を積んだシャシーを切り離して船側に載せ、トレーラヘッドだけが下船すると言った流れになる。そして、目的地の港に着くと、今度はトレーラヘッドだけが乗船してシャーシを連結し、そのまま下船するわけだ。

同じ物流を担う船にはコンテナ船というものがあるが、RO-RO船とは違う部分があるので説明しておこう。

コンテナ船の場合、荷役作業にガントリークレーンやフォークリフトなどを使うため時間がかかる。一方でRO-RO船の場合は安全に荷役ができるものの、シャシーごと船に載せるため、積載効率の点ではコンテナ船に劣るのだ。とはいえ、小口貨物から大型貨物まで対応できるRO-RO船は、コンテナ船やフェリーと同様にモーダルシフト船としての期待が高まっており、最近では時速20ノットを超える高速船も登場している。

コンテナ船の話になったついでにカーフェリーとの比較もしてみよう。

RO-RO船、フェリー共に大型トラックやトレーラーなどを運搬しているのは同じだが、大きな違いはRO-RO船が主に貨物を運搬しているのに対しフェリーは貨物に加え多数の旅客も輸送している点だ。

フェリーでの貨物輸送については無人輸送がメインだが、昨今の労務管理の厳格化に伴い長距離フェリーでは乗船時間が休息時間として扱われる特例があるため、有人トラック乗務員の利用も増加傾向にある。

カーフェリーは客室やレストラン、浴室も充実している旅客船であるのに対し、RO-RO船は貨物船で、基本的に客室はない。

つまりRO-RO船はトラックドライバーが乗れないとうのは、正確にいえば内部に入れるのはコンテナとシャシーを運び入れるときのトラックドライバーだけということなのだ。

最後にLO-LO船について説明して終わりにしよう。RO-RO船はロールオン・ロールアウトの頭文字を取った呼び方だが、文字表記が違うLO-LO船というものも存在する。これはLift On・Lift Off(リフトオン・リフトオフ)の略であり、クレーンを用いて貨物を積み下ろしする貨物用の船舶のことだ。両船の読み方は同じだが、荷役作業の方法が違うで、会話のなかだけだと区別できないだろう。

しかし、RO-RO船のすべての荷役をRO-RO方式で行なうとは限らず、甲板上にコンテナを搭載する場合にはLO-LO方式で荷役が組み合わされることもあるのだ。

ページトップに戻る