意外と普通の正式名称だったガードレールのうんちくあれこれ

あまりにも普通過ぎて、その存在が当たり前になっているガードレール。運転中はもちろん、歩いていてもその姿を見るのは珍しくない。たしかにガードレールは、我々の安全を守ってくれているのだが、実際にその恩恵を受けられる機会はないほうがいいという、なんともかわいそうな存在なのだ。そこで今回は、あまり注目されないガードレールについて深堀りしてみようと思う。

まずガードレールとは何か? というところからスタートしよう。ガードレールはクルマが事故などで車道外に放出されないようにするための、またはクルマから歩行者を守るのが役目で、正式名称は「防護柵」意外と普通の名前なのだ。

しかしその性能は折り紙付きなので解説していこう。万が一のときにスピードの出ているクルマを受け止められる強度が必要になるため、その形状にも工夫がされている。ご存じのとおり、一般的なガードレールの形はまっすぐな板状ではなく、複雑に折り曲げられている。これは真っすぐな形状だと、衝撃を吸収しきれないためだ。しかし、波状の形状(波形断面)にすることで強固な強度を確保しており、真っすぐの形状と波状の形状では、強度が150倍ほども違うのだ。

では次にガードレールの端の丸まった部分について話していこう。ガードレールの端のほとんどは、クルッと巻かれたような丸く反った形状になっている。この部分の名前は「袖ビーム」だ。

これはガードレールの支柱に支えられる横長の板の部分がビームと呼ばれており、その両端=袖についている部品ということで、袖ビームと名付けられている。

この、普段あまり気にする機会のない袖ビームも、歩行者や運転者を保護する上で、非常に重要な役割を担っている。

そもそもガードレールの定義として「進行方向を誤った車両が衝突する」という状況を想定されているため、金属板の鋭利な端が袖ビームで処理されていないと、衝突したバイクやクルマにガードレールが突き刺さってしまう可能性がある。そのためにガードレールの端が丸まっているというわけだ。

ではガードレールの色についてはどうだろうか。通常のガードレールの色は白だが、白のほかにも灰色や銀色、茶色など様々な色が存在する。そしてこの色分けにもちゃんと意味がある。国土交通省の通達によると、ガードレールの色は『景観に配慮した道路附属物等ガイドライン』に記されており、それをもとに決められている。設置されている場所によって色が違うのは、こうした理由からそれぞれ場所にあった色が選択されているからだ。

こうした我々の安全を守ってくれるガードレールだが、素材も様々で金属素材を用いているものの他、ワイヤーなどを用いた防護柵も存在する。ワイヤーガードレールは。通常のガードレールに比べて、衝突時の衝撃が少ないのも特徴だ。

姿かたちは違えど、様々な場所で我々の安全を見守ってくれているガードレールだが、万が一の時には頼もしい存在であるのは間違いない。

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