運送業をスタートするには、どんな準備が必要? 

物流の一端を担うとても重要なポジションなのが運送業であり、非常にやりがいのある仕事であるのは間違いない。そして、実際に運送業を自分の手でスタートしたいと思う人もいることだろう。

しかし、どの業種にもいえることだが、実際に起業しようとするなら、それなりの準備は必要となる。もちろん運送業は開業するにあたり許可が必要な職種でもあるため、今回は運送業をスタートするにはどうすればいい? というところのお話をしていこう。

まず一般貨物自動車運送業を行うためにはこの許可が必要となる。これは「他人から運賃を得て、トラックを使い貨物を運ぶための許可」のことだ。原則として、自分の会社以外から運賃をもらって貨物を運ぶ場合は、運送業許可を得ないと、事業を始めることはできない。

具体的には、ある企業から依頼を受けて、製品を工場から工場へ運んで報酬を受け取る場合などは「運送業許可」が必須となる。また貨物を運ぶ以外にも、お金をもらって積載車で自動車を運ぶ場合や引っ越しで荷物を運ぶ場合も、運送業許可が必要になってくる。

では逆に自社の荷物を運ぶ場合はどうだろうか? このケースでは他人から運賃をもらうことがないため、運送業許可は不要だ。例えばトラックを使って、大量に製品などを運んでも報酬が発生しないので、運送業には当てはまらないということだ。

しかし、これが軽自動車を使って荷物を運ぶとなると話が変わってくる。軽自動車を使った運搬の場合、仮に他人から運賃を貰っても運送業にあたらないというルールがある。そのため軽自動車を使えば、運送業を行なう場合でも運送業許可は不要なのだが、軽自動車を使って運送を行う場合は別途、「貨物自動車登録」が必要になる。これがいわゆる「黒ナンバー」だ。

黒ナンバーの登録は、通常の運送業許可を得るよりも要件が少ないので、運送業が初めてでも比較的簡単に取得できるのもメリットと言える。

では運送業許可を得るための条件を見ていこう。まず運送業許可を取得するには、最低6名の従業員が必要となる。その6名とはドライバーが6名ではなく、運転者が5名と運行管理者が1名で合計6名だ。ドライバーは運行管理者を兼務することができないので、運送業のスタートには最低でも6人の従業員を確保する必要がある。

さらに車両整備を管理する「整備管理者」も最低1名必要となるが、こちらはドライバーか運行管理者のどちらかが兼任しても問題はない。

従業員の人数が揃っただけではまだ運送業はスタートできない。さらに以下のような点をクリアする必要がある。

営業所

運送業で利用する営業所(事務所)を用意する必要がある。営業所は賃貸、自己所有のどちらでも構わないが、立地に関しては「市街化調整区域(建物を建てることを極力避けるよう、法律で定めている場所)」に入っていないことが要件だ。

休憩室

休憩室の設置条件は2.5㎡以上の広さがあることで、従業員が十分な休息をとれるようにするためだ。

駐車場の条件

駐車場の出入口前の道路幅は、相互通行の場合で約5.5m~6m以上、一方通行の場合で2.5m~3m以上である必要がある。

車両

運送業で使用する車両に関しては、軽自動車以外で、かつ車検証上で用途欄に「貨物」と記載されているトラックを最低5台以上保有する必要がある。

このように開業にあたっては人員の確保、事務所と休憩所の設置、使用車両5台以上と金銭面だけを見ても、それなりの費用がかかるのはお分かりいただけたと思う。軽い気持ちで簡単にスタートできる業務ではないが、もし運送業をスタートする気があるならば、物流の支える重要な仕事だということを念頭において、ぜひ成し遂げていただきたい。

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