
東京の南の玄関口であるJR品川駅。新幹線も停車するこの駅は、多くの路線が集中する巨大なターミナルだ。このエリアには、JR以外にも京浜急行や東京モノレールなどが走り、交通の便はすこぶるよい。ゆえに地価は高く、林立するマンションの多くは完売、あるいは満室状態にあるという。
そんな品川エリアでも、品川駅から天王洲方面に向かう交通機関はそれほど多くはない。両地域はいずれも魅力ある街づくりが行われているので、観光客や地元の人が回遊するようになれば、大きく発展することは間違いないのだ。とはいえ、両所の距離は2㎞ほどあるために、荷物の多い観光客や地元の高齢者が歩くにはやや遠いといえる。
そこで着目されたのが、次世代モビリティだ。これらをうまく活用することができれば、品川駅周辺と天王洲エリアを有機的に結ぶことが可能になるのである。そこで2025年10月、実際に次世代モビリティを運行し、一般客を乗車させるという試みが行われた。使用された主な車両は、以下のとおりである。
①1人乗り
・RODEM(デムザック)

4輪の小型電動車。基本的には1人乗りだが、小さな子供なら同乗が可能。
・C+walkT/S(トヨタ自動車)


Tタイプはキックスケータータイプで、Sタイプは椅子に着席をして操縦する。
・新型電動モビリティ(ドコモ・バイクシェア)
電動自転車。
・UNI-ONE(本田技研工業)

4輪付きの椅子のような乗り物で、操縦は体重移動によって行う。
・ストリーモ(Striemo)
キックスケータータイプの3輪バージョン。
②複数人乗り
・PARTNER MOBILITYON(久留米工業大学)

4輪付きベンチ型の乗り物で、3人の乗車が可能。
・グリーンスローモビリティ(ヤマハ発動機)
公道走行が可能なカートタイプの小型電動車。
・電動トゥクトゥク(eMoBi)

タイの3輪車トゥクトゥクを模した3人乗りの電動車。
これらのモビリティは、基本的に低速で人の移動を補助するという位置づけにある。しかし、将来は地域の移動手段として実用化を目指しており、観光客や買い物客の荷物も運べるタイプの車両が登場するといわれている。一定の量の荷物を運搬できる車両であれば、増加の一途をたどる宅配貨物アンカー用のモビリティとして利用することも考えられるわけだ。
現在、宅配トラックの荷物はひとつずつ運転手が届け先に運ぶ場合がほとんどだ。細い道がある場所などではトラックを荷捌きスペースに停めて、台車やリヤカーなどを使用することもある。こういったときに、凹凸の多い歩道や坂道などがあると、運搬の負担が大きく増すことになるのだ。
そういった場所には従来の小型トラックではなく、次世代モビリティを宅配用として投入することが望ましいといえる。運転が普通免許、あるいは免許不要であれば働き手の裾野も広がるだろう。逆に、トラックの利用を必要最低限に抑えることで、運転手不足も緩和されるに違いない。まだ、次世代モビリティには様々な解決するべき問題はあるものの、物流業界は一刻も早い実用化を待ち望んでいるのだ。
