最近CMでもよく聞くようになった「マテハン」って何?

マテハン、正規名称は「マテリアルハンドリング」だ。この言葉をCMなどで最近よく聞くようになったと感じる人は少なくないと思う。それだけ現在の物流においては重要になってきたという証拠でもあるのだが、その実態が何なのかを知る人はまだまだ少ないといえる。そこで今回は、このマテハンについて説明していこう。

まず基礎知識として覚えておいて欲しいのが、マテリアルハンドリングは物流業務を効率化・自動化するために使用する機械の総称だということだ。実際の物流現場では、省人化・省力化につながる機器を「マテハン」と呼んでおり、保管、運搬、仕分け、梱包など、色々な用途のマテハン機器が活用されている。

ここまでの説明で難しそうだと感じたとしても安心していただきたい。実際のマテハンには馴染みの深いものもたくさんあるので、その一例も加えて紹介しよう。

物流の現場で活用されているマテハン機器は、フォークリフトや台車、パレット、コンベア、搬送用ロボット、ソーター、ピッキングシステム、自動倉庫など多岐にわたるが、フォークリフトや台車は比較的ポピュラーなマテハンいえる。

ではさっそく作業別に活躍するマテハンを解説しよう。

フォークリフト

出荷する荷物をトラックに積み込む作業と荷物を下ろす作業で活躍するのはフォークリフトだ。

フォークリフトは工場や物流倉庫、港湾施設や貨物ターミナルなど、さまざまな場所で使用され、小回りが利くので多くの場所で使用されている。フォークリフトは、多種多様な大きさ・形があるが以下のように定義されている。

フォークリフトとは、荷物を前に積む(積載する)フォーク、ラムなどの装置と、これを上げ下げ(昇降)させるマストを備えた(エンジンなどの)動力付き荷役運搬車両のこと。カウンターバランスフォークリフトやリーチフォークリフトがあり、動力はエンジン

バッテリー、ガスなどがある。

パレタイザとデパレタイザ

パレタイザは、パレットの上に荷物などを自動積載する装置のこと。それぞれの層ごとに積み付ける「高床式パレタイザ」「低床式パレタイザ」のほか、産業用ロボットで荷物を掴んで(吸着して)積み上げていく「パレタイジングロボット」に分けられる。

デパレタイザは、パレタイザとは逆にパレットに段積みされた荷物の積み下ろし作業を行なうマテハン機器。パレタイザ同様に扱う荷物によって多様な形状をしている。

バンニングとデバンニング

コンテナに荷物を詰め込む作業をバンニング、コンテナから荷物を取り出す作業をデバンニングと呼ぶ。通常は手作業やフォークリフトによって行なわれるが、コンテナから倉庫内にベルトコンベアを接続したり、バンニングとデバンニングの手助けをする「バンニング・デバンニングアシストマシン」を使用して省人化・効率化を図ることができる。

台車

倉庫や配送センター内で荷物を運搬する最もシンプルなマテハン機器が台車だ。そのほかにも自走式の無人搬送車(AGV)や天井走行台車、棚搬送用ロボットなどもある。

無人搬送車(AGV)

無人搬送車は、「Automatic Guided Vehicle」の略語で、「自動的に誘導される車両」という意味。通常は床に磁気テープや磁気棒などをレールのように設置し、それに沿って無人走行する搬送用台車。「コンベア型AGV」「平ボディ・重量級型AGV」「低床型AGV」「牽引型AGV」など用途によってさまざまなタイプがある。

天井走行車

空いた空中のスペースを利用して天井に敷いたレールを走行する台車。無人搬送車と同様に自立運転が可能で、荷物の運搬のほかピッキング棚への自動商品補充や出荷方面別仕分け、工場での部品の工程間搬送などの用途で使用される。

AI搭載型自動搬送ロボット

近年は無人搬送車が進化し、AIを搭載した自動搬送ロボットも登場している。無人搬送車のように磁気テープなどを設置せずに自立して作業者に商品を届けたり、作業者に追従して走行するような自動搬送ロボットや、棚ごと移動させ作業しやすい空間を作る棚搬送ロボットなどもある。

ベルトコンベアとソーター

大量の荷物を運搬しながら仕分けする作業ではベルトコンベアや自動仕分け機のソーターが用いられる。コンベアとソーターをセットにしたものをソーターコンベアと呼ぶこともある。ベルトコンベアは上に載せたものを一定の速度で運搬するマテハン機器で、ソーターは、スライドシュー式、パン式、クロスベルト式、ポップアップ式などのタイプがあり、荷物の仕分け作業を自動で行うマテハン機器。また縦と横のベルトコンベアを組み合わせたクロスベルト式を「クロスベルトソーター」と呼び、高精度かつ高速な仕分けに活用されている。

オートラベラ

コンベアライン上のコンテナやダンボールに対して、目的に合ったラベルを印刷して自動で貼り付けを行うマテハン装置。

さらに出荷においてはデジタルピッキングシステムや自動製函機などが活躍する。

デジタルピッキングシステムは棚にデジタルピッキング表示機を設置し、目的の商品がある場所の表示機を点灯させることですぐにたどり着けるようにしたシステム。また自動製函機を使えば、畳んだ状態のダンボール箱を開き、テープ貼りまでを自動化することができる。

こうした作業効率が一気にアップするマテハン機器の導入はそのほとんどがメリットだが一部デメリットも存在する。そのデメリットが、トラブルが発生した際などは業務がストップしてしまう可能性だ。またランニングコストが掛かるという点もデメリットに挙げられる。とはいえ、業務効率化・省人化のメリットがそれを上回るケースも多く、トータルで見ればマテハンの導入は大きなプラスになることは間違いない。

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