
トラックドライバーのなかには車両のカスタムが趣味という人も多いことでしょう。テールランプやホイールナットなどのエクステリアはもちろん、キャビン内を快適にするアイテムまで、そのジャンルは非常に幅広いものです。
しかしいくらカスタムが好きといっても、何でもかんでも手を入れていいわけではありません。そこで今回はトラックのカスタムについて説明していきます。
まず基本的な事項として、国土交通省がトラックなどの車両を改造することに関して「道路運送車両の保安基準」内で、「合法」と「違法」の定義を明確にしています。そして、この保安基準内でカスタムすることが大前提です。
このことを踏まえ、トラックで公道を走行する際は、国土交通省が定める保安基準に適合した部品などを正しく装着することになります。しかし、トラックを改造した場合は、以下の点で大幅な変更が必要になる可能性があります。それが外寸(幅、長さ)、車高、重量(最大積載量)、乗車定員、形状、排気量、燃料の種類などです。
基本的にトラックを含めた国内のすべての車両は、新車登録時に国土交通省に登録した構造を変更することなく、定期的な車検を通過することで運行可能な状態とみなされます。
例えば新車登録時に登録している構造に手を加えて、パーツの変更や外装などの改造を行ない構造に大きな変更がある場合などは、国土交通省の陸運支局で「構造変更手続き」を行ない再登録しなければ走ることができません。
また、大きな変更が行なわれた車両は継続車検では対応できないので、車検の有効期間が残っていたとしても、新たに車検を受ける義務が発生します。
しかし、ここまで大きな構造変更をしなくても施工可能なカスタムも多く存在します。それに加えトラックカスタムには業務上のメリットも多くあるのです。
例えばルームミラーを大きくしたり、長いシフトノブに交換するなどのカスタムは使い勝手が大きく向上し、作業効率がアップするカスタムといえるでしょう。
また運転時の居心地が良くなるカスタムもあります。運転途中にパーキングエリアでの仮眠時に役立つ遮光カーテンやマットレスを装備する、座り心地のよいマットを使うなどもそのひとつです。

さらに個性が出せる外装パーツはカスタムの王道と言えるでしょう。ボディを好みの色に塗装してもいいですし、ヒカリモノ系でのドレスアップも視覚的なアピールになります。特にトラックのテールランプのカスタムは人気で、定番の角型をはじめとして、LEDをふんだんに使用したものまで、あらゆるテールランプを選ぶことができます。
またナットカバーも人気のアイテムです。乗用車とは違い強度最優先の純正ホイールナットはお世辞にもおしゃれとはいえません。そこでむき出しのナットをワンタッチでカスタムできる上に、目立つ、手軽というメリットを持つのがナットカバーです。
では最後に保安基準についての説明です。
車両の大きさには規定があり、保安基準で定められたトラックのサイズは、
・小型トラック 全長:4.7m以内 全幅:1.7m以内 全高:2.0m以内
・中型・大型トラック 全長:12m以内 全幅:2.5m以内 全高:3.8m以内
と定められています。
当然上記の規定されたサイズを超えてしまうと車検には通りません。
また車両のガラスの透過率も安全面で重要なポイントであり、保安基準内にも規定があります。運転席、助手席、フロントガラス、側面ガラスは可視光線透過率が70%以上なくてはならず、着色フィルムをいずれかのガラスに貼っている場合、ガラスとフィルムを合わせた透過率となります。フィルムを購入する場合は、後部座席は問題ありませんが、運転席や助手席側は保安基準に適した透過率のフィルムを選ぶことが必須です。
さらにヘッドライトの色は2015年からは規定が改定され、それまでよりも検査基準が厳しくなりました。ライトの色は基本白色ですが、2005年12月31日以前に車検登録された車なら黄色でも可能です。光軸の位置としては、前方に10mライトを照らした際にエルボー点が規定の位置になければいけません。また、光量を示すカンデラが1灯で6,400以上必要とも決まっているのです。

