
ひとくちに物流といっても、そこに関係するキーワードは山ほどあります。トラック、コンテナ、パレット、マテハン、EC、インターモーダルなどがその一部ですが、ここではちょっと聞き馴染みのない静脈物流と動脈物流というふたつの単語について説明していきましょう。
物流にはさまざまな工程がありますが、そのプロセスを大きく大別すると動脈物流と静脈物流に分けられます。そしてシンプルに説明すると動脈物流「メーカー側からの働きかけ」静脈物流は、「ユーザーからの働きかけ」という意味になります。ではもっと具体的にそれぞれの内容を説明していきましょう。
動脈物流
動脈物流とは、原材料を調達して商品を製造する。その後エンドユーザーに提供するという一連の流れに伴う物流のことです。これが物流を血液の流れになぞらえて、「動脈物流」と呼ばれている理由です。さらに動脈物流は調達物流、社内物流、販売物流の3種類に分けられます。
調達物流
調達物流は商品を製造するための原料の調達に伴う物流のことです。自社が販売するための商品を取引先から購入したり、工場で商品を生産するための原材料を買い付けたりするイメージです。
社内物流
社内物流は自社の商品を製造する工場内における商品や原料の輸送や、倉庫拠点間の商品の移動など、社内で輸送を行う必要がある物流のことで生産物流とも呼ばれます。
販売物流
販売物流は注文者に対して商品を納品する物流のことです。一般消費者や小売店の物流センターなどに対して商品を配送するのがこれにあたります。

では静脈物流はどうでしょうか。
静脈物流とは動脈物流とは流れが逆で「ユーザー側からの働きかけによって発生する物流のこと」です。一例をあげるとリサイクル品の回収、商品の返品や廃棄などです。これらは、自然発生する流れではなく、ユーザー側が動かないと発生しない物流であり、消費者の手に渡った商品が消費者によって循環することを、人間の血液の流れに例えて「静脈物流」と呼ばれます。還元物流や逆物流管理という呼び方もあります。そして静脈物流には3種類あるのです。
廃棄物流
廃棄物流は廃棄にかかわる物流のことです。回収できずリサイクルも不可能な物は、基本的に廃棄しかできません。したがって廃棄物を適切に処分するための物流が廃棄物流と呼ばれます。
返品物流
返品物流は文字通り商品が返品される際の物流のことです。返品はユーザーが商品を購入したあと、何らかの理由で返品したい場合、商品を返送します。この返品物流が発生すると、完結していたはずの物流が再開されることになるため、着払いによる輸送コストなどの負担が増加する可能性もあります。
回収物流
回収物流は、リサイクルの対象となっているあらゆる商品の回収に伴う物流です。エアコンや冷蔵庫などの一部の家電については「家電リサイクル法」が定められており、これも回収物流に分類されます。

このほかにも消費者物流と呼ばれるものもあり、これは引っ越し会社やレンタルスペース、トランクルームなどがそれにあたります。
このように物流の中にもさまざま種類があり、コストがかかるものから法律で決められているものなど細分化されているのがお分かりいただけたと思います。

