トラックの給油タンク雑学あれこれ

トラックの燃料タンクが乗用車と大きく違う点は大きくふたつ。ひとつは燃料タンク自体がむき出しになっていて、外からでも見ることができる点だ。そしてもうひとつが燃料タンクが複数個ある車両もあるということだ。通常の乗用車であれば燃料タンクは後部トランクの下や後部座席の市背もたれの裏側などにあり、外から確認することはできない。さらに燃料タンクは1台につき1個が普通だ。

ではトラックの運手席から燃料タンクの場所を知る方法はあるかと言えば、答えはYESだ。

最も簡単な方法は燃料計の矢印マークを確認することだろう。最近の車両(2000年代以降に製造された車両)では燃料計(ガソリンメーター)の横に小さな矢印マークが付いている。これは単なる飾りではなく給油口が車両のどちら側にあるかを示しているので矢印が右向きなら、給油口は右側、矢印が左向きなら、給油口は左側にあるということだ。あくまでも給油口の位置なので、正確には燃料タンクの場所ではない。

ではトラックのタイプやメーカーによる配置の違いはあるのだろうか。

トラックの給油口の配置は、車両の設計やメーカーによって異なることもあるが、基本的には大型車両の場合、運転席のすぐ後ろや荷台部分だと思って問題ない。

また、日本車やアジア製のトラックは、給油口が左側にあることが一般的で、欧米のトラックの場合は逆の右側に給油口があることが多い傾向にある。

またメーターの矢印以外でもサイドミラーで確認する方法もある。トラックのサイドミラーは視界が広いので、少し視線を動かせば給油口が見える位置にあるなら、目視で給油口の位置を知ることができる。

その他取扱説明書を確認するという方法もある。取扱説明書を見るくらいなら、実際に降りて給油口を確認したほうが早いのでは? と考えるかもしれないが、トラックなど大型車両では、燃料タンクの配置が特殊な場合もあるため、目視できない場合は取扱説明書を確認しておくのも有効な手段のひとつなのだ。

では、さらに燃料タンクについて説明を加えていこう。

大型車になると、燃料タンクが2個ついているものがあるが、これは航続距離を延ばすために装着されるダブルタンクと呼ばれるものだ。

そしてふたつのタンクはメッシュのホースで繋がっているだけなので、両方が満タン近くある状態で勾配がある場所などに停車したりすると、燃料が片方のタンクに寄ってしまい、軽油が漏れてしまうことがある。

この燃料漏れを防ぐには、ふたつのタンクの間にある接続コックを締めて、タンク間の燃料の移動を停めてしまうことで解決できる。

ダブルタンクで燃料漏れを起こさないためには、片方のタンクが空に近い状態で、コックを緩め、もうひとつのタンクも燃料を流すのが理想的だといわれている。

最後にトラックのガソリンタンクがバンドで固定されている理由を解説しよう。

燃料が入っていなくてもそれなりの大きさと重さがある燃料タンクなのに、ボルトではなくバンドで固定されているのには安全性の上で理にかなった理由がある。

トラックの燃料タンクがバンドで固定されていても、ずれたりしないように設計されているのは当然だが、固定方法にバンドが採用されているのはトラックの動きと関係がある。

トラックが高速道路で車線を変更したりカーブを曲がったりするとき、トラックにはねじられるような力が加わることになる。

このとき柔軟性のあるバンドで固定しておくことでその力が直接タンクに伝わらないよう、逃がすようになっているのだ。バンド以外の方法で固定されている車両も存在するが、この場合もねじれの力を吸収できる構造となっている。

トラックにとって燃料タンクの容量や取付位置は非常に重要なことだが、いくつもの安全装備や工夫によって取り付けられているということだ。

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