トラックのマフラーってどうなってるの?

トラックにも乗用車と同じようにエンジンが搭載されています。もちろん排気量や燃料に違いはあるものの、エンジンが動くことによって排気ガスが生まれるのは同じなのでマフラーも必要です。

排気ガスが排出されるという機能は同じながら、実はトラック用のマフラーにはある特徴があるのです。そこで今回はトラックのマフラーに注目してみましょう。

トラックのマフラーは、車両の使用環境や排気ガスの性質に対応するために特別な設計がされています。それを順に説明していきます。

DPFの再生機能

 2003年式以降のディーゼル車のマフラーには、DPF内の煤(すす)を燃焼させて浄化する「DPF」(ディーゼル微粒子捕集フィルター。DPDまたはDPRとも呼ばれる)という再生機能が組み込まれています。再生機能が働いているときは高温になるため、火災などが起こらないように耐熱設計されています。

排気ガス規制対応

近年の厳しい排気ガス規制に対応するため、トラックのマフラーはさまざまな浄化装置を組み込んでいます。

垂直配置の排気システム

 排気ガスを高い位置で排出するため、リアパイプが垂直に配置される車両もあります。これは、下方向への直接排気による環境や人への影響を低減するためです。

排気ブレーキとの連携

 トラックのブレーキには排気ブレーキといった独特のシステムや、エンジンの回転抵抗を利用するエンジンブレーキがあります。いずれも排気されたガスを使用するため、マフラーには高圧の排気がかかります。そのため、一般的な乗用車のマフラーよりも頑丈な構造が求められます。

では次にマフラーの関する機能について説明しましょう。

先ほどマフラーにはDPFと呼ばれる再生機能があると説明しましたが、このDPFとはディーゼルパティキュレートフィルターの略で、排気ガス中の微粒子を物理的に捕集し、高温で燃焼させて除去する装置のことです。

このDPFのほかにも選択還元触媒(SCR)システムというものがあり、これは窒素酸化物を尿素水溶液で還元し、無害な窒素と水に変換するシステムとなっています。この機能によりトラックの排出ガスを大幅にクリーンにします。

このように様々な機能や特徴を持つトラックのマフラーですが、大まかに以下のようなパーツで構成されています。

エキゾーストマニホールド

複数のシリンダーからの排気を集めて1本のパイプに送り出す役割を担います。高温の排気ガスにさらされるため、耐熱性の高い素材(鋳鉄やステンレス鋼)で作られることが多いです。

フロントパイプ

 エキゾーストマニホールドから排気ガスを受け取り、マフラーに送るためのパイプです。トラックの場合、エンジンとマフラーの距離が長いため、通常よりも長いパイプが使われます。

触媒コンバーター(排気ガス浄化装置)

 排気ガス中の有害物質を化学反応によって無害な物質に変換する装置です。トラックはディーゼルエンジンを搭載していることが多いため、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)や尿素SCRシステム(選択還元触媒)を備えていることが一般的です。

消音器

 排気ガスの流れを制御し、音波の共鳴を抑えることで排気音を低減する装置です。消音器は排気の流れを通路や仕切りで複雑にし、音エネルギーを減衰させる役割を果たします。

リアパイプ

テールパイプとも呼ばれ排気ガスを最終的に車両の外に排出する部分です。トラックでは、リアパイプが縦方向(車体の上部や側部)に取り付けられることが多く、排気ガスが地面に近い位置で排出されないように設計されています。

このほかにも低速走行時には静粛性を重視し、高速走行時にはエンジン性能を優先するなど、状況に応じた最適な制御が可能な可変バルブを用いたアクティブ・サウンド・コントロールシステムなどがあります。

ただ排気ガスを出すだけのパイプと思われがちですが、実はトラックのマフラーには数多くの技術と環境へ配慮した機能が詰め込まれているのです。

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