地球にやさしいといわれるバイオ燃料って何だ?

猛暑や酷暑、台風に竜巻、果てはゲリラ豪雨と、近年の異常気象はとどまるところを知らない。これらは皆、地球温暖化が主な原因だといわれている。すなわち、水蒸気・二酸化炭素(CO2)・メタン・一酸化二窒素・フロンなどの気体が、地球上空に留まることによって保温効果を生み、地球の気温を上昇させているというのだ。これらの気体を、総じて温室効果ガスと呼んでいる。

こういった気候変動は、各地に大きな被害をもたらす。これを抑制しようという世界的な動きが、COP21(第21回気候変動枠組条約締結国会議)だ。2015年、同会議に参加する196か国が、温室効果ガス排出削減目標を決めたパリ議定書を採択。1997年に結ばれた京都議定書に続き、地球環境を少しでも改善しようという取り組みの現れである。

前述のように地球温暖化ガスは複数あるが、なかでも多くを占めているのがCO2である。わが国では地球温暖化ガス総排出量の9割に達しており、その多くが自動車に起因している。ガソリン・軽油で稼働する自動車は、これらを燃焼させて動力を得る内燃機関を採用しているために、大量のCO2を発生させるのだ。

もちろん、自動車業界も手をこまねいているわけではない。直接的にはCO2の排出がないEV・燃料電池車・水素内燃機関の開発に、各メーカーが注力しているのだ。とはいえ、これらがスタンダードになるまでには、乗り越えなければならない壁が少なくない。そこでこれらと並行して、ハイブリッド車やCNG(LNG)車といったCO2の排出が0ではないものの、化石燃料の単独内燃機関より抑制が可能な技術について、実用化が進められているわけだ。

同様に、CO2は発生するが原材料の生産過程でそれを吸収するために、排出量が実質的には0になるという、カーボンニュートラルを見込んだ燃料にも注目が集まっている。その代表格といわれるのが、バイオディーゼルだ。これは、生物資源を原料として作られる燃料で、第1世代は食物として使用可能なものを原料としていた。現在は第2世代で、非食物の植物が原料になっており、原料の成長過程で光合成が行われるためにCO2が消費されることで、実質的にCO2の排出が0になる。

このバイオ燃料のひとつ「出光リニューアブルディーゼル」を、出光興産が生産している。これを、石油製品の輸送・販売を手掛ける松林が自社のミニタンクローリーで、そのネットワークから大林組が稼働させている油圧ショベルに給油。その使用データを収集し、実用化につなげようという試みが始まっているのだ。

ほかにも、神奈川中央交通が実施する自動運転実証実験用バスに、コスモ石油マーケティングが自社のバイオディーゼル燃料を供給。また、三井物産とセブンイレブンジャパンがタッグを組み、兵庫県にあるセブンイレブン配送センターの店舗配送用トラックに、バイオディーゼルを使用する実証実験を行っている。生活協同組合のパルシステムと伊藤忠エネクスでは、廃食油を原料としたバイオディーゼルの仕様実験を開始した。

バイオディーゼルの販売や製造については、新たに東亜建設や三和エナジーが乗り出している。このように、バイオディーゼルに関する動きはこのところ活発化しているのだ。カーボンニュートラルというだけではなく、現在使用されているディーゼル内燃機関を、ほとんどそのまま利用できるという利点も大きい。今後の発展に、大きな期待が寄せられている。

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