
少し前のことだが、SNSでトラックドライバーのトイレ問題が話題になったことがあった。これは今に始まったことではなく、ずいぶんと前から問題となっていたことでもある。今回はトラックドライバーのトイレ問題を軸に話を進めていこうと思う。
この問題は、各大手メディアでも「トラックドライバーの迷惑行為」としてその光景がたびたび報じられてきた。しかし、トラックドライバーとトイレというキーワードだけが独り歩きしてしまい、結局は何も解決しないまま一過性のネタとして取り上げられるに過ぎなかったのも確かだろう。
では、もう少し掘り下げて考えてみよう。まず話題の一部にしか過ぎないが、トラックドライバーに「トイレ以外で排尿をしたことがあるか」というアンケートでは8割があると答えたとうデータがある。ではなぜトラックドライバーがこのような行為に至るのか? そこには物流業界の働き方や数々の制約が大きく関係していることがわかってきた。
第1に挙げられるのが、長時間労働による制約だ。そもそもトラックドライバーは長時間車内で過ごすことが前提の職業であり、これは業務の特性上避けることはできない。ましてや長距離トラックの場合、1日の勤務時間は13時間にも及ぶこともあるのだ。
4時間ごとに30分以上の休憩を取ることが法律で定められてはいるが、実際には不可抗力のスケジュール変更や都合、渋滞などもよくある予定外の出来事だ。こうなるといくらトラックドライバーが計画的に運行していても十分な休憩時間を確保することが困難になってしまう。
そして運転中に尿意を感じたとしても、高速道路なら次のサービスエリアまで我慢しなければいけないし、一般道だとしても大型車両が駐車できるパーキングスペースがそれほど多くないという状況に陥ってしまうというわけだ。特に中型・大型トラックの場合、コンビニエンスストアや一般的な商業施設の駐車場には停車できないケースが多く、トラックドライバーが気軽にトイレを利用できる環境が整っていないという現状もある。

このような状況の場合、トラックドライバーはどんなふうに考えているのだろうか?
長距離運転という激務のなかで、時間を気にしながらトイレを探すのは難しいと言う意見やトイレ行く時間が5分だとしてもその時間すらもったいないという切実な声も聞かれた。なかにはトイレのために停まって、トイレ行って帰ってきて出発する時間を考えたら、なるべく飲み物を我慢してトイレに行かなくて済むように気を付けているという話もあった。つまりそれだけ労働環境が時間に追われているということの証でもる。
もちろんトイレ以外で用を足すのは法律違反であり、けして認められる行為ではない。この問題を根本から解決するとしたら、労働条件の改革、トラックドライバー用設備の拡充などが必須となるわけだが、一朝一夕ではどうにもならないのが現状だろう。そうなると、後はトラックドライバー自身のモラルと言う話にもなるのだが、これまた生理現象である以上は、一概に「我慢してほしい」というのは無理な話でもある。
非常に特殊性の高い話題だが、みなさんはこのトラックドライバーのトイレ問題、どう考えるだろうか?

