
今、路線バスやタクシーなどといった公共交通の運転手が大幅に不足している。そのため、減便・路線廃止・減車・廃業といった事態が相次ぎ、大きな社会問題になっているのだ。こういった事態が、ただでさえ経営状態がよいとはいえないこれらの事業者に重い負担を強いることになっている。自治体も住民サービス、およびインフラ維持観点から様々なサポートを試みているが、決定的な解決策は見いだせていない。
自動車移動が中心になっている地方都市であれば、クルマひとり1台程度普及しているから、公共交通機関の依存度はそれほど高くないと考えられていた。しかし、少子高齢化が進むなかで高齢者は免許を返納を迫られている。ところが、彼らの足となり得る若い家族が少ない状況では、日々の買い物にも不自由しかねない状況に陥ってしまう。こうなると、やはり公共交通機関の充実が必要になってくる。

そこで、ヤマハ発動機が展開している電動低速小型モビリティが注目を集めている。これは、ゴルフカートのような電動のモビリティ。ボディの一部にビニールシートを使用するなど簡易な造りになっており、最高速度は約20㎞/hで4人~7人程度が乗車可能。各地で自動運転レベル2の実証実験にも使用されており、その実績は申し分ない。

現状では1台につきひとりの運転手が必要になるが、以下のようにメリットが多い。
・車両価格が高くないので、イニシャルコストを抑えられる。
・メンテナンス費用や電気代が低いので、ランニングコストを抑えられる。
・電動なので、地球環境にやさしい。
・低速なので、交通事故などの危険性が低い。
・小型なので、小回りが利くから隘路などでも使用可能
・運転が簡単なので、熟練の運転手を必要としない。

現在の導入事例では、市民の足となるコミュニティバスのような利用や、観光客の近距離移動手段として使用されることが多いようだ。前者では住宅地と商業施設・医療機関・公共機関・鉄道駅などを結んで、住民の生活を支援している。後者では鉄道駅・バスターミナルといった交通拠点と宿泊施設や観光地を結ぶほか、ゆっくりと観光拠点をめぐる周遊バスのような使い方をされているのだ。同車両を運営するのはヤマハ発動機のほか、自治体・社会福祉法人・運送事業者などが多い。
公道では前述のとおり、自動運転レベル2の実証実験に使用されているが、私有地などといった公道ではないところであれば、電磁誘導による自動運転が可能。工場などの企業施設内のほか、公園・団地といったところでの運行が想定される。車両を監視するセンターは必要だが、そこから少人数で複数の車両を管理することができるのだ。
さらに人だけではなく、荷物の運搬にも利用が考えられている。住宅密集地や隘路といった条件下のラストワンマイル輸送では、小型トラックでも配達が難しいことが少なくない。そのようなときに、電動小型低速モビリティを使用しようというわけだ。ほかにも、カーシェアやレンタカーとしての展開も考えられている。近未来の身近なモビリティとして、期待が高まっているのだ。

