車両性能とドライバーの技術は反比例する? 昭和には見られなかった令和の運転

「クルマが急発進して交差点に突っ込む」とか、「バックで駐車しようとしたクルマがフェンスを突き破った」など、クルマが暴走したという事故が後を絶たない。物損事故ならまだしも、歩行者を巻き込むなどして複数の犠牲者が出るといった悲惨な事故も増加傾向にあるようだ。これらの原因は、ほとんどがアクセルとブレーキの踏み間違いである。

こういった操作ミスは、オートマチックトランスミッション(AT)になったことが大きいとされる。この技術は1980年代後半から普及し始め、今ではトラックやバスにも多数採用されている。クラッチペダルがなく、アクセルとブレーキだけを右足で操作すれば、クルマが動くという便利な機構である。ところが、片足で異なるペダルを操作することが、踏み間違いにつながるという皮肉な結果を生んでいるのだ。

実はマニュアルトランスミッション(MT)の場合、ブレーキを踏んで停車するときにはクラッチを踏み込まなければエンストが起きる。すなわち、ドライバーはブレーキを踏む際にはクラッチを切るから、仮に間違ってアクセルを踏み込んだとしても、エンジンは空回りをすることになる。惰性で衝突は起きるかもしれないが、突っ込むといった事態にまでは至らない。踏み間違いによる悲惨な事故は、ATならではのものなのだ。

また、加速・減速性能や走行安定性が格段に向上してきていることに加えて、高速道路の制限速度が一部緩和されていることなどから、無謀な速度で爆走するドライバーも散見される。その最たるものが、あおり運転だ。自身が速く走っているために他のクルマが遅く感じられ、車間距離を詰めてしまうのである。これはたいへん危険な行為で、一歩間違えれば他のクルマを巻き込む大事故につながってしまう。クルマの性能が良くなれば、自身の運転技術を過信するドライバーがいるということだろう。

近年、問題になっているのは工事などの規制帯に対する突っ込み事故である。道路はメンテナンスのために工事が不可欠であるし、一般道路ならガス・水道などの工事も行なわれる。そのようなときには、複数ある車線のいくつかを規制することになるのだ。この規制帯に突っ込んでくるクルマがあるのである。その原因のなかでも多いのが、運転補助装置の過信だ。

最近のクルマは自動運転を意識して、ドライバーを補助する先進安全技術が多数導入されている。なかでも、アクセルを踏まなくても設定した速度で走るオートクルーズシステム、前方車両との間隔を維持する車間距離制御装置、前方の障害物を検知して警告する障害物検知装置などが付いていると、それらを過信するあまり運転中に前方から目を離してしまう。ところが、これらの装置では規制帯の検知や回避をできないことがある。結果的に事故を起こしてしまうのだ。

このようにクルマは技術の進化が著しく、利便性が向上してドライバーの負担が少なくなってきている。しかし、現段階ではまだドライバーがハンドルを握り、責任を持ってクルマを操らなければならない。いくら便利な装置が付いたからといって、それを過信して油断をすれば事故につながってしまうのだ。速度や車間距離には気を付けて、周りにやさしい余裕のある運転を心がけたいものだ。

ページトップに戻る