京都市営バスが抱える3つの苦悩

京都市民の足として、また京都を訪れる観光客の効率的な移動手段として、京都市営バスは日々活躍している。もともと、京都の中心部には市電が縦横無尽に走っていたため、当初市営バスは市電路線と郊外を結ぶ補完的役割を担っていたという。しかし、モータリゼーションの発達などを理由に市電が順次廃止され、次第に公共交通として中心的な役割を担うようになっていった。現在では京都市とその周辺部で83路線が網の目のように運行されている。

京都市は政令指定都市ながら、鉄道路線が充実しているとはいい難い。市電廃止以降、市営地下鉄は南北1路線(近鉄京都線と相互乗り入れ)と東西1路線(京阪京津線と相互乗り入れ)のみ。鴨川東岸沿いに京阪本線・鴨東線、四条通沿いに阪急京都線、京都駅から奈良に向かって近鉄京都線があり、叡山電車・京福電車も走っているが、それらの乗り入れ・乗り換えの利便性は高いとはいえない。ゆえに、市民や観光客の市営バスに対する依存度が、必然的に高くなるのだ。

このように、他都市の路線バスに比して恵まれた条件下にあると思われる市営バスにも、3つの悩ましい問題が存在する。ひとつ目は、いわずと知れた収支の悪さである。京都市営バスに限った問題ではないが、路線バスは総じて収益性がよくないのだ。一般論になるが、公共交通機関は地域民の足として重要なインフラであるため、儲からないからといって簡単に廃止・減便ができるわけではない。ゆえに、多くの赤字路線を抱えることになる。

全83系統のうち、黒字になっているのは24系統のみ。残る59系統は赤字である。100円の売り上げを得るために、いくらの費用が必要かという営業系数で全体を見ると、’24年度は「103(100円の売り上げを得るために103円かかるということ)」である。1日の平均旅客数は約34万人。東京都営バスが60.5万人で大阪シティバスが26万人であることを思えば、決して旅客が少ないというわけではない。人件費・運転手不足によるリクルート費用・燃料高騰・赤字路線の維持が、経営を圧迫しているのだという。

ふたつ目は、オーバーツーリズム問題だ。前述のように京都市営バスの旅客数が多いのは、インバウンドなどの観光客によるところが大きい。旅客が増えるのは喜ばしいのだが、それによって市民が乗車できないとなると話が変わってくる。とはいえ、実際は京都駅・繁華街・観光地を結ぶ一部の路線に限られた話。料金の高い「観光特急」を新設するなど、対策も講じられ始めている。

3つ目は、渋滞である。京都の中心部である洛中は、平安時代に区画整備がされているために道が狭い。片側3車線以上あるのは、東西に走る御池通りと五条通り、南北に走る堀川通りぐらいである。後は片道2車線で、右左折用の車線が確保できていない交差点も多い。繁華街の目抜き通りである四条通りに至っては、河原町通りと烏丸通りの間が片道1車線に変更された。これでは、大きなバスがスムーズに走ることは難しい。

さらに、市民の高齢化という問題もある。これは、

・敬老乗車証の利用者増加に伴って経費負担が増加する。

  • 車内転倒などの事故を防止するために運行時間・運行経費が増加する。

などといったことである。これらの問題は一朝一夕で解決するものではないが、安全に運行を続けるためには、1つずつ解決の道を探っていかなければならないだろう。

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